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キャロルのmegumiのレビュー・感想・評価

キャロル(2015年製作の映画)
5.0
原作を読むとテレーズからキャロルへの憧憬が物凄い。だが映画で観ると原作以上にキャロルの心情が響いてくる。

恐らく女性のみが恋愛対象であったはずの彼女は、強制的異性愛の社会においては結婚するしか選択肢がなかったのだろう。最愛の娘を産み、幸せが訪れても、女性との関係を告白したことを機に夫との関係は崩れ、最悪の日々が続いていた。そんなときに彼女の前に現れた、真っ直ぐ彼女をそのまま肯定してくれるテレーズの存在にキャロルはどれほど救われたのだろうか。2人が抱き合うラブシーンは、テレーズを抱擁した時のキャロルが感じたこの上ない安心感が胸に迫ってきて涙が出た。
高校生で観た時はキャロルが身勝手に思えた。だが異性との結婚なぞ社会が期待しそう仕向けなければ彼女はきっとすることがなかった。だが産まれた娘はもちろん愛おしい。そう考えれば、結婚し娘のいる彼女がテレーズと恋に落ちることを身勝手だと責めることは全くもって間違っている。

同性愛者であること、女性であること、本人自身そうであった作者が描く物語。ドキュメンタリー「パトリシアハイスミスに恋して」も観たい。
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