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キングスマンのkomoのレビュー・感想・評価

キングスマン(2015年製作の映画)
4.2
幼い頃に父を亡くしたエグジー(タロン・エガートン)は人生に挫折し、窃盗事件まで起こして警察に捕まってしまう。
しかし幼少時に出逢った父の友人から『何かあったら掛けるように』と渡された番号に電話したところ、あっという間に釈放される。
そうして再会したその男ハリー・ハート(コリン・ファース)は、世界のどの国にも属さない諜報機関・キングスマンの一員であった。
ハリーにスパイとして見初められたエグジーは、キングスマンの拠点である高級テーラーへと足を踏み入れるのだった。



【袖を通したらもう戻れない】

コリン・ファースのスパイアクションというだけでご褒美なのに、高級紳士服を身にまとっているという点でも本当にの眼福映画でした! ……グロいけど。
そしてコリンが、少年と言える年頃の男性をスパイとして成長させてゆく師弟ものでもあるので、ツボに合う人にとってどこまでもヒットする作品だと思います。
コリンの弟子役に扮するのは、英国の人気俳優ランキングでコリンを押さえてしまったタロン・エガートン。そのスーツ姿は冒頭からしてとても美麗なのですが、後半に進むに従ってスパイとしての顔になってゆくところも美味しいです。

巨悪の役に扮するのはサミュエル・L・ジャクソン。
この作品は、悪役が仕掛けていることは煩雑なのに、その目的自体はとてもシンプルなのがとてもいいです。
キングスマン側の設定が情報量多めなので、そこでバランスが取れていると思います。

ハリーとエグジーの師弟物語として始まる本作ですが、わりと早い段階からエグジーが自分自身で思考を巡らせ、ハリー以外の者と行動を共にするようになってゆきます。常に意外性のある展開。様々な視点で映像が進むので、群像劇としての楽しみ方もできました。

しかしグロテスクな映像もあるので注意。
人体破壊がややコミカルにあっさりと描かれるという点は、『キル・ビル』にも似たテンションを感じました。

多くの人物が死ぬ展開に不穏さを感じている私たちに、スパイたちの美しいスーツが語りかけます。『だから私たちがいるのだ』、と。
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