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ヘイトフル・エイトのarinのレビュー・感想・評価

ヘイトフル・エイト(2015年製作の映画)
4.6
なんと濃密な168分だったろうか。

南北戦争直後ぐらいの雪に閉ざされた山荘を舞台にした密室劇で、監督はクエンティン・タランティーノ。
賞金稼ぎ、賞金首の女、元南軍の将軍、元北軍の兵士、保安官、馬丁、無頼漢、死刑執行人らが集まる。タイトルのエイトとは彼らをしてエイトなのだろう。
出演はサミュエル・L・ジャクソン、カート・ラッセル、タラちゃん映画の常連ティム・ロスとマイケル・マドセンも。

登場人物、全員が全員どうも怪しい。全員が全員嘘をついているか、やましい秘密を抱えているようだ。
ストーリーが終わる頃には、観客はすべての秘密を理解し、かつもう一度最初から巻き戻ししたくなる衝動に駆られることだろう。

映画マニアで知られるタランティーノ監督は一つの作品に他ジャンルをごった煮で打ち込むことに定評があるが、本作でもその手腕はいかんなく発揮されている。
会話劇、ミステリー、推理シーン(コナン、金田一的な)、そして打ち合い。
流血シーンも容赦なく、命を命と思わない冷酷な世界描写を叩き込んでくる。主要人物があっさり死ぬ。展開の予想がつかない。

終わった後は安楽椅子に身を沈め、ボーッとしていたくなる(巻戻しの前に)。これはそういう種類の映画だ。
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