分からない人間には長尺駄作でしかない
事情通には「深い何か」や「隠されたメッセージ」など楽しめる点があるのかもしれずそれは大変結構なことなのだろう。
しかし、事情通でもない人間にとっては無駄に長い凡作以外の何物でもない。
重要なアクセサリーとして「エイブラハム・リーンカーンからの手紙」が挙げられようが、日本人にとってその重要性というものがなかなか肌感覚的に掴めず、理解しかねるとしか言いようがない。
果たして本作品は監督の真摯さの表れか、ある種のおふざけ遊びなのかそれすら判別できない。
ギャング団の情け容赦なき暴虐性は憎むべきポイントなのかもしれないが、それすらこちらの激情を掻き立てることはなく、殺害される一般市民に対してもほぼ無痛覚・無感情。
つまりは全くリアリティが伝わることのないスクリーンの中で行われている残虐アトラクションでしかない。
ストーリーに技巧性があるわけでもなく、5場面に分けた構成に何らかの意味を見出すことは私にはできなかった。
テンポよく描写すれば90分程度で済んだであろうに、2時間50分かけた必然性も分からない。
ちょっと前に見たブラピ主演のジャッキーコーガンと似たようなとてつもない虚無感だけが残されるのみ。
こういった何もポジティブさも得られない「何かを匂わせ期待させながら、ただ視聴者のエネルギーを消耗させるだけの虚無映画」が一つの潮流となっているのかもしれないね。
総評マイナス三ツ星
このレビューをアップした後に本作の情報を漁り何かあれば追記。
032007