ケンタロー

ゴジラ キング・オブ・モンスターズのケンタローのレビュー・感想・評価

3.5
日本が生み出したゴジラを、ゴッリゴリの中国資本レジェンダリーが、ハリウッドで映画化するという、過去類を見ないバックボーンを背負った新しい時代のゴジラ…。

モンスターバース第3弾、その勢いは加速度的に増し、今後も見逃せないシリーズとして定着したでしょコレ(^O^)

『地球最大の決戦』(’64)や『大怪獣総攻撃』(’92)をベースとした、怪獣勢揃いのお祭り騒ぎのようなストーリーではあるが、映像の美しさと怪獣の迫力に気圧される!
ゴジラへの愛とリスペクトを強く感じられる良作なり♪

ただし、シリーズ第2弾『キングコング髑髏島の巨神』を鑑賞後、次作では怪獣アクション以外の人間ドラマの作り方が明暗を分けるとレビューしたのだが、その懸念を払拭することは出来ていなかったのはちょっと残念かな…(;´Д`)

多くの方が、エマ(母親)の行動原理に対して賛同出来ないとしているし、人間側の超ご都合主義な展開とデッド・プールのドミノばりのラッキー連発には苦笑いだわ…(^_^;)
ま、でもコレ怪獣映画ですからね…笑

興味深かったのは、先に述べた本作のゴジラのバックボーンで、コレには個人的には複雑な気持ちになる部分があった。

本作のゴジラには、日本、中国、アメリカという国々のイメージ(あるいは各国がそれぞれの国に対して抱くイメージ)が透けて視える。少なくとも自分はそう感じた。

※以下ネタバレ含むのでご注意ください

■日本のゴジラからアメリカのゴジラへ

水爆実験の副産物であり、日本列島を襲う台風や地震といった自然災害を想起させるゴジラ。それは祟りや怨念の集積体としても表現され、日本という国の暗黒面の象徴とも言える存在だ。

そのゴジラは本作で、まるで特務機関ネルフみたいな軍事力を有するモナークとアメリカの助力により、窮地を脱し復活する。その様は、穿った見方をすれば原爆や核保有への肯定ではないだろうか?

復活するゴジラはアメリカの助力で戦後復興を果たす日本のイメージにも重なる…。

そのゴジラは最終的にはアメリカの古都ボストンで王として君臨するに至る。いつのまにかゴジラは日本の象徴から、アメリカナイズされた力の化身となってしまっている。ように思う笑

■日本人・芹沢博士

そして、このゴジラに代わって日本を背負うのが芹沢博士だ。悟りの境地に達したかのような達観した人間として描かれ、ゴジラと運命を共にする博士。

しかし、まるで特攻艇「回天」のような潜水艇に乗り込み核弾頭もろとも自爆をする様は、アメリカから見た日本人の美徳や精神性についての固定観念や理想ではないだろうか? そんな気がした…笑

■侵略者ギドラの東洋イメージ

キングギドラが東洋の龍をモチーフとしたイメージであることは、ビジュアルはもちろん、読経のようなBGMからも感じ取れる。この得体の知れない三頭の巨龍・侵略者ギドラはアメリカから見れば、中国や北朝鮮、そして、もしかしたら日本も含んだ、力でねじ伏せる必要のある東洋のイメージのようにも思える。考え過ぎだが…笑

誤解の無いようにしたいのは、監督のゴジラへの愛とリスペクトはもの凄く、決してそんな政治的メッセージに満ちた映画ではないということ。
ただ、そんなことも考えたり妄想出来ちゃうのがゴジラ映画の楽しさでもある♪

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