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ヒラリー・スワンク ライフのshinoのレビュー・感想・評価

4.0
この20年間でテロにより殺された人の数に、1967年の六日戦争以降、中東で死んだ人の数を足す。さらにベトナム戦争と朝鮮戦争の犠牲者と、イラクやアフガニスタン介入の犠牲者の数を加えて、その合計を2倍する。

それが、「毎年マラリアで亡くなっている子どもたちの数」

50万人と聞いても想像がつかない。公開から数年後の今は、この映画に出ているような人達の懸命な活動のおかげでもっと数は減っているはず!

アフリカのモザンビーク。マラリアで息子を亡くした、二人の母の話。
ヒラリー・スワンク演じるメアリーは、息子との長期旅行の際、ただの風邪と勘違いして手遅れに。もう一人の母マーサの息子は24歳。ボランティアで教師として派遣されていた時に同じくマラリアで…

「息子を亡くしても、母親でいることをやめられない。」という痛烈なセリフが忘れられない。ただただこの二人の母親が強いんです。悲しみに暮れるのではなく、行動を起こせる強さ。

後半少し過剰な演出もあるけれど、この映画のいいところは、アフリカに対して悲観的すぎていないところ。
マラリアも全員が全員死んでしまう病ではないんです。映画の中でもちゃんと助かっている子がいたし、子どもたちのキラキラしたかわいさも観ることができる(*^^*)

あとは主人公というより、彼女を支えた旦那さんが本当に素晴らしい人で、もう一人の母のマーサの魅力もまた映画に華を添えている。

アフリカに少し触れてみるのに、オススメできる映画です(*^^*)

ここまでが映画のレビュー。
ここからは勝手な主観。アフリカにいるうちに思ったことを記録しておきたいという自己満足!Filmarksよ、ありがとう。笑

すごくいい映画でも、やっぱりしっくり来ない部分もある。
主人公は知識不足で息子を亡くしてしまった訳で、そこから一人でも多くのアフリカの子どもを救いたいとなるのは分かるけれど、まずは自分と同じような欧米人増やさない方に尽力すべきでは、とどうしても思ってしまう。
知識さえあれば、早く対処すれば、助かるのだから。予防薬を買うお金があるのだから。
我が子が重度のマラリアと分かっていながら病院の前に座り込んで待つしかないアフリカのお母さんとは違うのだから。
だからといって自分に何かできるのかと言われると何も言えないけれど(´;ω;`)

アフリカにいると、マラリアは本当に身近な存在。つい最近も同僚と隣の家の子どもがかかっていたくらい。
こっちの人はそこまで重く捉えていなさそうだからまた不思議。マラリアという問題も全部まるっと抱えて生活の一部として生きている?という感じ。

怪我をして病院に行った時、明らかに具合の悪そうな赤ちゃんを抱きながら、外国人の私なんかの怪我を心配してくれる優しいアフリカのマダムもいる。
病院も絶望感だけが漂う場所ではなく、待ち時間に地域の人が集まってお互いの家族を心配しあう、小さな優しさがいっぱいある場所なんだよなぁと。
そういうことをちゃんと覚えておきたい。

とりあえず今私ができることは、送り出した子どもを、アフリカで亡くしてしまったマーサのような母親を増やさない事だな。私にもちゃんと薬が与えられているのだから。

わあ長い。笑
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