悪名高いグアンタナモ湾収容キャンプの内情を、アメリカ軍の新米女性二等兵の目を通して描く映画です。
グアンタナモに派遣された新米兵士たちの仕事は、テロリストとして捕まった囚人たちの日々の世話。食べ物を支給したり、本を配ったり、あとただひたすら見張り番をしたり。
新米兵士が囚人たちを “prisoner”(囚人)と呼ぶと、上官は “detainee”(勾留者)と訂正する。こういうところに偽善を感じる。
普通、グアンタナモを描く映画では勾留者たちが拷問されるショッキングな映画が多いのですが、この映画は勾留者の方が新米兵士たちを虐めまくる。勾留者たちは、誘拐同然に捕まえられ、無実だと証明されているのに8年も収容されていたり、怒りが溜まっているので、日々の面倒を見てくれている兵士たちにすごい反抗的。
新米たちは20歳そこそこくらい?すごい幼く見える。勾留者たちは、無実の罪で投獄されている怒りだけでなく、みんな教育も高かったりして頭もいいので、新米たちは簡単に翻弄される。
だから、名前を教えたり、喋ったりして友達になったりしてはいけない、と教えられる。
こういう環境を受け入れられちゃう人もいるんだけど、クリスティン・スチュワート演じる新米兵士、コールは疑問を持ち始める。上官からの「お誘い」を断ったことで虐めに合ったり、それを報告しても上部は「それが軍隊ってもんだ」的な扱いをされた、という女性としての難しさも描かれる。
コールが軍隊に参加した理由も、産業もなにもない田舎で育った子は、軍隊に入る人はくらいしかないんだな、という背景も何気に描かれているし、また、コールが「なにか大事な仕事をしたかった」って言うんだけど、軍隊に入って「国を守る」とか「悪人を倒す」ってのが幻想で、現実は無実の人の日常の世話をするという、間違っている上に退屈なつまらない仕事だというのも胸が詰まる。
そんなこんなで、コールとアリは心が繋がっていくんだけど、恋愛感情なのかどうかはハッキリしない。
先に言及した通り、アメリカ軍の若い女性兵士の目線でグアンタナモを描くという視点が新しいのですが、映画としては淡々とし過ぎているかなとは思う。ショッキングなシーンはないので、そういうの苦手な人にはいいかも。
私は良く寝落ちしなかったなあと自分を褒めたい。やっぱクリスティン・スチュワートはいいんだよね。アリを演じるPaymān Maādiっての?この人も良かった。イランの人らしい。
淡々と話が進むんだけど、最後はこの2人の演技が良くて泣かされた。敢えてネタバレはしませんが。