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あと1センチの恋のOASISのレビュー・感想・評価

あと1センチの恋(2014年製作の映画)
2.4
幼なじみの男女ロージーとアレックスの12年間に渡るすれ違いの恋を描いたラブストーリー。

ロージー役のリリー・コリンズのなんとまぁ可愛いらしい事。
「白雪姫と鏡の女王」などでも印象的だった太眉を筆頭に、カワイイメイク、カワイイドレス、カワイイヘアスタイルにカワイイ選曲・映像などなど、彼女をいかに可愛く映し、いかにキラキラさせるべきかに全力を投じていた。
実際可愛いのでその点については文句の付けようが無いし、童貞にゴムをナカに置き去りにされたり、妊婦姿の彼女を観るだけでも十分元は取れる。

しかし、ロージーがシングルマザーになったり、結婚や離婚を繰り返すというかなり重要な決断の部分を軽いノリで描き過ぎて、二人の行動が全て軽率に見えてしまった。
「すれ違い」と言えば聞こえは良いが、穴を埋める(意味深)為や距離を離そうと意図的に相手を避けたり他の人とくっ付いたりするし、そうキャラクターが動かされているのでご都合主義が結構酷い。

12年間お互いが相手の事を一筋に想い続けるというのは現実的に考えて難しいが、5年間も望まぬシングルマザーを貫いていたのに急に戻って来たチャラ夫とヨリを戻したり、初めの彼女と分かれた後に結婚まで考えていた女を捨てて元サヤに収まったりと、幼馴染の二人をなんとかくっつけようとしてむしろそっちの方が現実離れしてないか?という状態だった。
最初から最後まで一人の事を想い続けろ!とは言わないが、恋路を邪魔する役目は仲良しな友達一人くらいにとどめておいた方が良いと思われる。

「別れちゃった」「別れて来た」と、結婚や離婚をまるで「車を駐車場に停めて来たんだけど」というような軽い物言いで済ませてしまう辺り、ロージーとアレックス以外の人物は全て二人を引き立たせる為の装飾物であるとでも言いたげである。
ロージーの親友である赤髪の太っちょガール以外の脇役は異様にこちらをムカムカさせるだけで全く魅力がなかった。

12年間も経っているのに高校卒業時と見栄えが変わらず、12歳の子持ちには到底見えないリリー・コリンズのメイクとか、お尻の軽過ぎる登場人物だとか、恋愛や結婚の先にある奥深さを感じるには程遠い細部の粗さも気になった。
子育ての苦労や積み重ねてきた年輪をもっと滲み出させるべきだし、それはアレックス役のサム・クラフリンにも同じ事が言えると思う。

「あと1センチ」とは、鼻と鼻を付き合わせたとしても決して触れる事の無い唇との距離を表しているとは思うが、個人的にはあと1cm元彼のアレが長ければゴムも外れる事は無かったし、シングルマザーになる事も無かったという意味合いの方がしっくり来る。
そう思うと、平均的なサイズで良かったなと自分のムスコに感謝したくなる映画だった。

隣の女子高生二人組が「これはヤバイ!」「泣き過ぎてヤバイ!」と「ヤバイ」がゲシュタルト崩壊を起こしそうなほど連呼していたが、その語彙の乏しさはなんていうか...ほんとに...ヤバイ(こちらも語彙不足)。

@シネ・リーブル梅田
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