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マッド・ガンズのひこくろのレビュー・感想・評価

マッド・ガンズ(2014年製作の映画)
4.2
設定こそSFなんだけど、中身は西部劇、もしくは古き良き時代のアメリカ大河映画という感じ。
それだけに、最初はこの世界観を受け止めるのにかなり戸惑った。

機械技術が発達していて、ロボットとかもいるのに、人々は砂まみれの生活をしているし、銃やナイフで命を奪いあったりもする。
とはいえ、暴力が支配するような、絶望に満ちた世界観というわけでもない。
時代はいま厳しいけれど、頑張ってなんとか生き抜いていこう、とみんなが生活を送っていると言えば近いだろうか。
とにかく、どこか昔懐かしい感じがする世界なのだ。

そして、映画はこの世界を舞台にある一家の歴史を三章立てで描いていく。
それは家族の歴史でもあり、同時にその土地の歴史でもある。
各章の主人公たちは、土地で何を願い、何を望み、どう行動して、何を残していったのか。
話が進めば進むほど、過去の意味がどんどんと深くなり、面白くなっていく。

ロボットのモニターを通して、過去がすべてつながるシーンとかは本当にゾクゾクした。
そこまで観ていたあらゆることが、歴史となって回想されるような快感があった。
たったの100分でここまで濃密なことをやってみせたことに驚いた。

いろんな部分がおかしいんだけれど、それを変だと感じさせない重みがある。
長編映画ならではの魅力を堪能したいけど、時間がない、という人にはぜひおススメしたい。
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