教祖カニパンダ

ラスト・ウィークエンド(原題)の教祖カニパンダのレビュー・感想・評価

4.5
親子。歳を重ねると関係がガラッと変化する不思議な繋がり。
幼少時、子供にとって親は神に近い存在。
だけど、年齢を重ね、自分の考えを持ち成長すると、それは酷く滑稽に見えるかもしれない。

週末を一緒に過ごす為に別荘に集まった子供達。しかし、久しぶりに会った母との関係性はちょっとギクシャクなお話。

最初観た時、違和感というか気持ち悪さみたいなものを感じました。
子供達と母親の会話が噛み合っていないんですよ。

母は過去の栄光にしがみつき、子供達は各々の悩みを持っていて、苦しいながらも前を見つめようとしている。

噛み合うわけないんですよ、この両者は。

ただ、このお母さん、決して悪い人ではないんですよ。むしろ一番人間臭い。

大きな家も持ってるし、子供達も立派に成長した。でも、巣立ってしまった子供達を見送った後の人生は?

そう、何も残っていない。

子育てこそが生きがいだった。でも、今となっては思い出しか残っていない。

何かにしがみつきたい。それを見た子供達は母を滑稽な存在だと考える。

実は、私も以前近しい人に似たような感情を持った覚えがあるんですよ。

多分、子供達と同じ考えだと思います。

ただ、失う恐怖というのは、ある程度の年齢や経験を重ねないと、本当の意味での理解は出来ないのかもしれません。

親子関係について色々と考えさせられる作品(´ω`)