『決斗!一対三』(The Lawless Breed)1953
原題は「無法の血筋」。実在のアウトロー、ジョン・ウェズリー・ハーディンの自伝が原作。
刑務所を出所したウェスは自分の半生を書いた手記を印刷屋に渡して故郷へ帰る。印刷屋に行くまでウェスは馬や犬を優しく撫でる。ウェスの人柄がわかる描写。印刷屋が読む手記に沿って映画は始まる。
厳格な牧師の息子ウェスは父親に反発して銃とギャンブルで生きていきたい。父に鞭打たれたウェスは家を飛び出しポーカーの勝ち負けを巡って相手を射殺。相手が先に抜いたから正当防衛だというのがウェスの言い分だ。
殺された相手の兄弟三人(その1人は若き日のリー・ヴァン・クリフ)がウェスの命を狙ってウェスの行方を追うというのが大筋。
ウェスは逮捕に来た保安官を返り討ち(相手が先に抜いたから正当防衛)
酒場の女性ロージー(「アマゾンの半魚人」のジュリー・アダムズが美しい)に助けられ逃亡の旅を続けるが最後には牧場主となり子供も出来たがテキサス・レンジャーに逮捕され20年の重労働の刑に。
出所したウェスは初めて会う息子が自分の銃を弄ぶ様子を見て過去がフラッシュバックして思わず息子を殴ってしまう。
自分の父が自分を鞭打った様に。無法者の血が息子にも流れているのか?しかし無法者の血筋などは存在しない事を証明して映画は終わる。
希望に満ちた終わり。人間は過ちを犯すが立ち直ることもできる。ラウォール・ウォルシュ監督は完璧な語り口で映画を紡ぐ。ガンファイト、草競馬、アクションとストーリーテリングのバランスは職人芸。
この映画を観た子供たちは暴力やギャンブルを称揚しない内容から大切な事を学ぶ。人生を振り返った物語から教訓を得る。ロック・ハドソン演じる主人公は「自分の様になるな」と身をもって語りかけるのだ。そして晴れ晴れした気持ちが私の中に残る。