Blake1757

実験4号 It’s a small worldのBlake1757のレビュー・感想・評価

実験4号 It’s a small world(2008年製作の映画)
3.5
Theピーズという日本のロックバンドの『実験4号』という曲に捧げ(dedicate)られた、約40分の短編映画。伊坂幸太郎の短編小説とセットでDVDで販売された。
僕はピーズが大好きなので、この「本+DVD」自体はだいぶ前に買っていたのだが、積読でそのまんまになっていた。昨日、山下敦弘監督の『リンダ リンダ リンダ』を観て、本作が山下監督のフィルムだったことに気づかされて、やっと鑑賞。
伊坂幸太郎の小説と地続き(同じ世界の近未来の話)なので、これから観られる方は「小説→映画」の順で見るのをお勧めする。この映画だけを見ても設定が理解できずに、何が何やらになるとは思う。
(小説を読んだ後に観る前提でだが)フィルム(映画作品)は、とてもよかった。小学生の男子が三人出てくるのだが、(設定が近未来なのに関係なく)驚くほどに自然で、芝居とは思えなかった。固定キャメラでの長回しが多くて、まるでドキュメンタリーを見ているようだった。あの三人と女性教師が、架空の非現実的な設定なのにめちゃくちゃにリアルにあの場所に存在していて、彼らと彼女への愛おしさが画面からあふれてくる。
純粋さとやるせなさの残るラストシーンのあと、エンドロールに続いて『実験4号』が流れるのだが、「なんかまたつくろう、場所は残ったぜ。/君と最悪の人生を消したい」って歌詞に感情をひどく刺激される。
あと、ピーズの同じアルバムに入ってる『月面の主』って曲も、この二つの作品(小説と映画)にインスピレーションを与えてると思う、たぶん。
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