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ハッピーボイス・キラーのスマイリーのレビュー・感想・評価

ハッピーボイス・キラー(2014年製作の映画)
4.0
良い拾い物をしたなあという感じ。あまり前情報を入れずに見たのでびっくり。
この映画、主人公の主観のときは『ビートルジュース』のようなポップな映画。しかし客観に切り替わった途端にサイコキラーものに変貌する。
そういえば、『バードマン』は主客の切り替わりをほぼ全編ワンカットで見せて、それ自体が話を推進させていた。この映画もワンカットで主観が客観に切り替わるところもあり、それが面白い効果を上げている。まあ基本はカットを割って見せているが。
2人目以降の殺人、肉をナイフがつん裂く音を乗せるだけで殺したことを示すという、テンポの良い演出には笑った。サイコキラーものでありながら、グロテスクになりすぎていないのもここに起因している。
精神分裂病の主人公、分裂した性格のポップサイドを犬、キラーサイドを猫が担っている。犬が家を出て行った後に、主人公にはキラーサイドしかなくなったのでカタストロフィーへ向かうという見せ方も気が利いている。
他にもかくかくしかじかと言いたい気持ちも吹っ飛ばすのがラスト。今年一番驚愕した。なんなんだアレは!「殺してごめんね」のセリフの軽さといったら。というか一人明らかに異質なのがいるのも何なんだ。そもそもなんで歌うんだ。歌の内容も唐突だし。あれは死後の世界、というか「彼の視点から見た」死後の世界ということなのだろう。
ジワジワと最高だったなあと思い起こされる映画。今後、どんどん点数が上がっていきそう。
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