まる

博士と彼女のセオリーのまるのネタバレレビュー・内容・結末

博士と彼女のセオリー(2014年製作の映画)
4.8

このレビューはネタバレを含みます

スティーブンの人生や人間性を知れて、さらに彼を好きになった!
宇宙への秘密の鍵シリーズを何度も読んでても思ったけど、本当に恐ろしく、それこそ天文学的に天才なんだと改めて思った。

どんなに身体が辛くても、面白そうな、楽しそうな表情をしてたのが印象的だった。それだけで人間性が伝わってくる。笑顔を作る神経伝達が働いていて良かった。(脚色の部分もあるかもしれないけど。)
そして、目がずっと輝いてた。次は何をしよう、どうやって驚かせよう、と自分の研究に対しても周りの人たちに対しても思ってたんじゃないかな。そして、周りの人への愛が眼差しから伝わってきた。
唯一、講演のシーンで、落ちたペンを拾いに行けないことに絶望的な表情を浮かべてたのが辛かった。
本当は誰よりも悔しい思いや恐怖や自己嫌悪や罪悪感を湛えてたと思う。
それでも負けたり腐らないところから、魂の強さが窺えた。
周りのサポートはもちろん、彼自身が明るい人だったからここまで到達できたんだと思った。
病気だからと周りの人が気を遣いすぎない関係性も、見てて清々しかった。プライベートでも、研究でも。研究に関しては、病気がマイナスポイントにならないほど素晴らしい業績だから、病気という点を考慮する必要すらない、みたいな。圧倒的な賢さで、人々に純粋に衝撃を与えてた。
彼が考えを伝えるテクノロジーが発展していて、良い時代だと思った。
あと、周りの人たちがすごく賢かった。スティーブンの理論を理解できるのが凄い。もちろん、スティーブンの説明が上手いということもあると思うけど。


ジェーンの仕事量が心配だった。1人であの仕事はかなり厳しい。
親もあんまり手伝ってないようだったし。(実際はわからないけど。)
介護士を雇わない方針、他の介護士についてどうにかしろと言うけど、あなた方は何もしないの?とムカついた。お年のこともあるけど、ジェーン1人に子育てと介護を押し付けてるのが不快に感じた。
そりゃジェーンだって詩の勉強とかしたいに決まってるし、自分の時間だって欲しいだろうに。
ずっとスティーブンやお子さんにかかりきりで、若い頃に自分の人生はなかったんじゃないかな。
そんな中で博士号取ってたのは本当にすごい。
ジョナサンへの心の移ろいも理解できた。そりゃそうなるよね、と。
なんだかんだ、現実だから綺麗事だけではやっていけないんだよね。作品の中ではまだ綺麗に描かれてたけど、現実はもっと厳しかったと思う。だんだん、夫婦というより親子のような感覚にもなっていったのかも。愛してるけど、その種類は微妙に違う、というような。
本当によく支えてるなと思った。ただの旦那という域を超えて、世界の頭脳、ホーキング教授を支える必要があった。だからこそ、緊急搬送時にあの発言が出たんだと思う。決断力や行動力が凄い。
子供たちのこともよく考えてた。
妻として、母として、助手として、人間として素晴らしい人だった。
講演にエレインを連れて行くと言ったシーンで、スティーブンが「君に何ができる」と聞いてたけど、あれはグサッと来た。そりゃお世話はもうできなくても、側にいたいと思うよ……。ショックだった。
この2人が大好きだから生涯共に暮らしてほしいと思ったけど、現実は甘くないか。2人がいい距離感で過ごせたようで、それは嬉しかった。色んな形があるよね。

エディの演技が凄かった。表情や仕草も、ホーキングさんそっくりだと思った。よく研究して再現できるなあ。さすが。
すごく繊細で緻密な演技だと思った。

創造主、神についての2人の考えは真逆なのに、バチバチしないところがすごかった。そしてホーキングの論に、神の気持ちを知るという文を入れるのも面白かった。

ホーキングさんのご著書を読んでみたくなった!
まる

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