なか

博士と彼女のセオリーのなかのレビュー・感想・評価

博士と彼女のセオリー(2014年製作の映画)
3.4
ALSを患った天才物理学者スティーヴンと彼を支える妻ジェーンの闘病生活を描く伝記映画。2人の関係性の変化や難病を患う人だけでなく支える人の苦悩にも焦点を当てる。

ケンブリッジ大学で宇宙や時間について研究するスティーヴンは徐々に筋肉を動かせなくなる難病ALSに犯されるが、妻ジェーンの支えを受けながら成功を収めていく。しかし裏でジェーンは介護、家事や育児などを一人で抱え込み、心身ともに限界を迎える。

そんな中、教会の聖歌隊の指揮者の男性と苦しみを共有し助けを得ることで生活を維持し始めるが、これにより夫婦の関係性に変化をもたらすこととなる。

苦しい現実の中でどのような選択を取るべきかを考えさせられる映画でした。
あえて脚色し過ぎずドラマチックに見せないのは実話に対して真摯で好感が持てた反面、少しオトナ向け過ぎてエンタメっぽくないのであまり誰かにオススメしにくいかもしれません。

この映画では、ALSというコミュニケーションすら困難になる病の配偶者を持つということは、その人とは恋愛や夫婦や家族とはまた違う関係性になる可能性が強いことを示しています。

介護する者が配偶者であっても、心の拠り所や傷を癒し合える他の誰かが近くにいても良いんだ、と。

病を患う者の苦しみだけでなく、それを介護する身近な者の苦しみを捉えてる。その現実をどう受け入れ、妥協し合い、理解し合えるか、既存の価値観や尺度に収まり得ない関係性を描いています。
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