このレビューはネタバレを含みます
スティーヴン・ホーキング博士の半生を描いた実話。
これはなかなか。
作品を“解釈”しようとする癖があるのは私の悪いところでもあるかもしれない。
そういうわけでノンフィクションもののレビューは苦手です。
もはや月並みになってしまう程皆が口を揃えて言うけれど、本当にエディ・レッドメインの演技は圧巻ですね。
印象的だったのはジェーンが医師から「人工呼吸器を外すかどうか ご指示ください」と言われた時。それが義務だったのか必然だったのかは分からなかったけれど、迷わず手術を選んだ。
私ならどうするだろうかと考えてしまった。
自ら人工呼吸器を外す選択をする事はなんだか悪のように感じてしまう、命の終りを私が決めるなんて出来ない、その勇気や責任から逃れたくて、建前や綺麗事で手術を選ぶかもしれない。
だけど、目が覚めた時、二度と声が出せなくなっている、話すことさえもできなくなってしまった彼の絶望感を思うと、苦しまずに済ませてあげた方が彼のためなんじゃないかって、そんな事も思ってしまう。
自分を想って覚醒させる、相手を想って永眠させる。
なんて皮肉で歪な選択肢だろうか。
だから作中では、目覚めたあとにも笑える瞬間があったことや、なによりもスティーヴンの『命ある限り 希望があります』という言葉にとても感動した。
ああ、この選択は、二人にとって必然だったのだと、愛がそうさせたのだと。
ジェーンにはしっかりとスティーヴンの想いが見えていたんだなって、私はなんて浅はかだったんだろうって、ハッとした。
『2年のはずが、長い年月だった』
「短い間でもいいから一緒にいたい」そこから始まった愛が、思うよりも長く一緒にいられて「それでもあっという間だった」と言えるほど、簡単で愛しい事ばかりじゃなかった。綺麗事じゃない飾らなさが伺える言葉。
それでも「命ある限り希望がある」そう思わせたのも、最善を尽くしてずっとずっと支え愛したのも紛れもなくジェーンだったんだなあ。
確かな愛の証明。
あくまでこれは“私の私見”だけど。