ヒロ

ストレイト・アウタ・コンプトンのヒロのレビュー・感想・評価

4.6
素晴らしい映画でした。

学生の頃、2PACが射殺されたことやMVが過激なことから「HIPOHOPは怖い」というイメージが先行しており、曲も単調だったり暗い雰囲気で、どこがいいのかわからず「難しい」と感じていた。

この映画を通じ、過激である背景を知り、HIPOHOPの聞き方(カッコよさ)に気づくことができた。

それが可能だったのは、コンプトンも、彼らも、とりまく環境も関係者も混とんとしたまま描いていたからだろう。また、Eazy-Eを始め「善人」「おりこうさん」にしなかったことも生々しくてよかった。

彼らの育った環境は壮絶であるからこそ、そこで生き抜くには激しさが求められ、その思いをストレートに表現させた言葉や音楽やMVが過激になるのは必然であることも理解できた。その背景を知らない当時の私には「怖さ」が先行したのも当然だった。

彼らの全てに共感などできないが、それでも心を打たれ魅了されてしまうところがまた彼らの凄さであり、アーティステックであり美しさだと思う。

それと共に、Dr.Dreがサンプリングしたものに言葉を音として乗せていく様は本当にカッコよく描かれており、HIPOHOPが苦手だった私も一気に好きになった。

善悪ではない、正邪もない、コンプラなどあろうはずもなく、ただただ自分たちの思いを爆発させ、ビジネスに飲み込まれ、それに抗い、友と抗争し、それら全てを言葉に音楽に表現し、ぶつけ、命を燃やした彼らの生き方に感銘を受けないはずはない。
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