うめ

殺し屋チャーリーと6人の悪党のうめのレビュー・感想・評価

3.4
 オーストラリアの監督クリフ・ステンダーズによるブラックコメディ。西オーストラリアの美しい街を舞台に、ある6人の身に起こる出来事を、サイモン・ペッグ演じる殺し屋チャーリーの視点を中心として描く。

 どこかの批評にもありましたが、ストーリーはコーエン兄弟のような、タランティーノのような展開(笑)誰も収拾できない事態へと展開していったり、小道具として大金や銃が登場したりする辺りは完全にコーエン兄弟ですよ(笑)ただ先に事の展開を見せて、では実際その真相の裏では何があったのかっていうストーリーの流れは好きなので、「ふ〜ん」とか「へぇ〜」とか思いながら観ていました(笑)その「ふ〜ん」や「へぇ〜」がコーエン兄弟並みの面白さに繋がらなかったのは、曖昧な部分があったから。特に人物の関係性と行動の動機が説明できていない部分があったのは、疑問が残る。あと…人物たち、行動の詰めが甘い。それも面白さに繋がらなかった要因の一つ。

 それだけストーリーに欠点があっても面白いと思えたのは、やはりサイモン・ペッグのおかげ。今回、彼は便利屋兼暗殺家業を生業としているチャーリーを演じているのだが、外見からしてかなり怪しい。殺し屋の不気味なオーラなど微塵もありません。ヒゲを生やし黒ずくめの服に、大きな銃を担ぐ姿は…やっぱりいつものサイモン・ペッグ!地声が低めなので暗殺者らしい雰囲気は出そうだったのですが、どうしても愛嬌が抜けません(笑)さらに殺し屋なのだが撃ち合いなどはほとんどせず、冒頭からある人物を尾行して木陰からこっそり望遠鏡で覗き観て、その様子に驚くばかり。その姿は、結局いつもと変わらないサイモン・ペッグでした(笑)

 それからタイトルに殺し屋とあるように、人が死ぬシーンが登場するのだが、それがどこか安っぽくて笑える。あれは意図しているのかしていないのかよくわからないが、血の吹き出し方やスローモーションの使い方がじわじわと笑いを誘った。またオーストラリアの美しい風景も、今作の場合安っぽさに拍車をかけていた。海岸線を空から映したシーンがあるのですが…これがものすごく海が綺麗なんですよね。どんな展開になっていても「あぁ、綺麗だなぁ〜」って思っちゃうくらいに(笑)ブラックコメディのストーリーとその風景のギャップにもやられました。

 あと注目した点は俳優たち。『アイ・アム・レジェンド』などに出演したアリシー・ブラガ、『ウォーム・ボディーズ』のヒロイン・ジュリーを演じたテレサ・パーマー、そしてヘムズワース三兄弟の長男ルーク・ヘムズワース(横顔がクリス・ヘムズワースそっくり!)…と「どこかで見た事あるなぁ」という俳優たちが出演していて、それもまた面白かった。

 直球、王道の面白さを期待したら裏切られるかもしれませんので、是非気軽に観ることをお薦めします。私はこういう雰囲気の作品、嫌いじゃないです(笑)
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