ノラ

弾丸刑事 怒りの奪還のノラのレビュー・感想・評価

弾丸刑事 怒りの奪還(2014年製作の映画)
3.7
今作は、強面俳優のダニー・トレホが主演するアクション映画となります。ストーリーとしては、刑事のダニー・トレホが自身の愛孫を奪還するために犯罪組織と死闘を繰り広げるという、B級映画としては手垢もとい鉄板の内容となっています。

劇中ではトレホが持ち前の怖い顔を駆使しながら敵たちをあらゆる手段で追い詰めていくことになります。トレホは今作の時点ですでに御年70歳ということもあってか、アクションシーンは主に銃撃戦がメインで肉弾戦は少なめなのですが、それでも劇中ではトレホが極力スタントに頼らず果敢にアクションをこなしていて、一方でアクションの多くをスタントに頼りがちな某セガールとの違いを際立たせています。

一方でトレホの日常が描かれるシーンでは、麻薬中毒から抜け出そうとする娘に対してトレホが怖い顔で祝福してやったり、公園で遊んでいる孫をトレホが怖い顔で見守っていたりと、家族を思いやる祖父として優しい日常を過ごしていて、怖い顔ながらもほのぼの爺としてトレホが街の風景に溶け込んでいるのがホッコリとさせられます。

今作はタイトルの通り刑事モノの映画ではあるんですが、物語後半はトレホが警察バッジを置いて単身で敵のアジトに殴り込みをかけるので、物語上トレホが刑事である必要性はあまりなかったりするのですが、ともあれ本作には警官以外にも特殊部隊のSWATが登場するなど、絵的にもそこそこ賑やかな内容となっています。

そのSWATなんですが、いずれの隊員も戦闘服を着込んでアサルトライフルを所持という完全武装にもかかわらず、ハンドガンだけのマフィア二人にあっさりと返り討ちにあうという軟弱ぶりで、さすがに現役SWAT隊員の人が本作を観たら軽くキレそうなレベルのカカシっぷりを晒してるのがちょっと気になりました。

物語のクライマックスでは、主人公のトレホと今回の敵ボスであるカリートによる拳銃の一騎打ち対決が繰り広げられるのですが、敵のカリートもトレホほどではないにしろ強面の持ち主で、その強面属性の両者が向かい合って対峙するわけですが、そのシーンではお互いの怖い顔をやたらとドアップで交互に何度も映してくるので、「銃の決闘」というよりも「にらめっこ対決」にしか見えないところがあって、絵的にもなかなか濃い対決でした。

また、今作独自の演出として「特定のシチュエーションを二度繰り返す」という仕掛けがあるのも見逃せないところです。具体的には「公園で集団が一般人を誘拐する」「女がベッドで男に馬乗りになる」「手錠をかけられた人物が鍵に手を伸ばす」といったシチューエーションがそれぞれ人物を変えて劇中で二度発生することになります。この演出によって本作の面白さが増すのかと言ったら、正直よく分からんところですが、ともあれ本作はダニー・トレホの顔を90分間ただ眺め続けるだけではない、独特の持ち味を持った映画だと言えます。
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