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オデッセイのKtoのレビュー・感想・評価

オデッセイ(2015年製作の映画)
3.8
【説明】
火星に一人置き去りにされた宇宙飛行士の生存をかけた孤独な奮闘と、彼を救いだそうとする周囲の努力を描く。(wiki引用)

映画史に残る最も豪華なジャガイモ栽培映画。

【感想】
火星に一人残される…という絶望的でサスペンスフルな設定なのに、不思議と陽気で前向きなSF映画だった。マットデイモンの一人シーンが多いんだけど、映画全体に通底するパワフルさと軽快さがとても心地よい。

マークの心の拠り所となり孤独を和らげていた、船長の残したディスコ音楽達がめちゃめちゃ明るくてハッピーで、観ているこっちも楽しくなってしまう(実際にロサンゼルスとかの映画館では観客席もノリノリになってたらしい)。
良い映画には良い音楽がつきものだよね、MCUのガーディアンズオブギャラクシーに近い趣味と爽快感。

マークのビデオの語り口も軽快でユーモラスで楽しい。幸い僕は植物学者なのでね、とか十字架は燃やしていいだろ?とか。
マークが取り残されても何故あそこまで冷静でいられるかについては、彼がロケットに乗る事を許可された有能な人間だから、というのが答えらしい。実際にロケット乗員だった人曰く「パニックになるような人間はロケットに乗れない」とのこと。

人命よりもリスク回避やNASAの存続を優先する長官や、天才パーネルの演出や、最後の切り札としての中国の存在等はやや御都合主義的に話が進んでいくけど、それはもはや主題ではないのでよい。「トロッコ問題」の如く、複雑な選択肢をシンプルにまとめて提示し、観客を置き去りにしない親切設計は流石のリドリースコット監督…(+ドリューゴダード)。

最後のマークの笑顔、救出作戦でのキャプテンの男気…これが観られるだけでも最高の映画ではないですか…。
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