グラッデン

オデッセイのグラッデンのレビュー・感想・評価

オデッセイ(2015年製作の映画)
4.4
「知力、体力、時の運」

本作の鑑賞後、80〜90年代に人気を博した『アメリカ横断ウルトラクイズ』で度々使われたこの言葉をふと思い出しました。

火星上で嵐に見舞われ、1人残されてしまった宇宙飛行士のマーク・ワトニー(マット・デイモン)が、救助に駆けつけるまでの数年間をサバイバルする物語。

SF作品はもちろん、過酷な環境を舞台にしたサバイバルを題材にした作品も昔から好きなジャンルではありますので、鑑賞前から楽しみにしておりましたが、ワトニーが遭遇する過酷な状況を見ながらニヤニヤして見ておりました(酷い)。

サバイバルを題材にした作品でも、集団サバイバルは各々の得意分野をコミュニティに還元することが可能ですが、本作のような「ひとりぼっち」スタイルは自分のみが頼りになりますので、冒頭に挙げたフレーズが思い出されたと思います。

また、作品が進むに連れて、航海日誌のように、ワトニーが映像でログ(記録)を残しながら物語を進めていくアプローチについては、良さを感じました。どうしても、地道な作業シーンも多いので、会話がない分、テンション高めに語ってる方が観客もノリやすいのではないかと。劇中のディスコサウンドも相まって、絶望的な状況を悲壮感マックスにしない作りは個人的に好感を持っております。

その他、ワトニーが独力で立ち向かう場面を中心に描いていたからこそ、彼を取り残してしまった仲間たちの、様々な意味での距離感の描き方も良かったです。そういう意味では、終盤はだいぶ作品のテイストが変わっていたかもしれませんし、改めて「宇宙飛行士たちを描いた作品なのだ」と強く印象づけられました。

宣伝ほどには重すぎないアプローチと、しかしながら説得力のある過酷な環境下であることを軽んじないリアリティが良いバランスが取れていたと思います。素直にオススメの作品です。そして、見終わったらポテトを食べましょう。