あんがすざろっく

オデッセイのあんがすざろっくのネタバレレビュー・内容・結末

オデッセイ(2015年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

リドリー・スコットがSFに戻ってきた。僕はこの時プロメテウスをまだ見れてなかったから、本当に久しぶりのSFです。
見渡せば丘とクレーターしか見えない広大な砂漠、火星。物語は既にそれが当たり前かのように幕を開ける。
序盤早々、火星に降り立ったクルー達は砂嵐のせいでミッション遂行を断念せざるを得なくなり、火星離脱を試みるも、ただ一人、植物学者のマーク・ワトニーが思わぬ事故に見舞われ、キャプテン及び他のクルーはマークが死亡したと判断、やりきれぬ思いを抱いたまま、彼を残して火星を離れる…。
これ、序盤ですよ?
普通ならメインに来るべきスペクタクルですよ。
しかもあの御大リドリー・スコットの新作ですよ?
これから先、映画は何を描いていこうというのか。
そして始まる物語は、実は生き延びていたマークの、火星での寂しい限りの一人暮らし。
いやぁ、気が狂いそうですね。
今までの御大のスタイルからすると、ここから火星の神秘、壮大さ、宇宙の謎に迫る…と行きたいところを、どっこい映画は明るく、ポジティブに、マークの火星エンジョイライフを描いていく。
リドリー・スコットは、これまでとは違うベクトルで
ミニマルな世界を構築していく。
「プロヴァンスの贈り物」で見せた陽性のパワーが満ち溢れている。
マークの火星での試行錯誤は、科学的根拠に基づいていて、何だかよく分からないうちに納得させられてしまう。火星で暮らすには、こんな知識がたくさん必要なんだろうかなぁ。
前評判から、音楽の使い方にもスポットが当たっていた本作、確かに「宇宙=クラシック」の概念を覆したディスコナンバーのオンパレードには新鮮な驚きを感じたが、如何せんそちらのジャンルにはあまり興味ない僕は、しっくり来ず。
ただ唯一、デヴィッド・ボウイのあの曲(スペース・オデッセイではない)が流れた時は、むちゃくちゃ胸が熱くなりました。
それから、最近女優さんの映し方が大変僕好みのリドリー作品、本作では4人の女優の魅力を引き出してくれてます。クルーのキャプテンにジェシカ・チャスティン、クルーの一人にケイト・マーラ、NASAの広報官にクリスティン・ウィグ、そしてNASAのスタッフにマッケンジー・デイヴィス。
チャスティンとウィグは既に名前の知られている女優さんなので、やはり安定した演技を見せてくれます。
僕としては、これからが楽しみなマーラとデイヴィスに注目でした。
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