けん

聖テロリズムのけんのレビュー・感想・評価

聖テロリズム(1980年製作の映画)
3.0
監督・脚本 山本政志

1980年の8mm映画。
昭和のアナーキーな作品には、なんだか胸騒ぎがするんだ。

高度成長期の終盤の1980年ごろは、バブル前の画一的な普通をみんなが目指していた時代。

そんな普通が退屈で嫌気が差して、テロリズムに走るイカれたヤツらの話。

だから、日本のパンクマーブメントは、80年代に生まれたんだろうな。

江戸アケミとか、遠藤ミチロウとか。

映画に登場するのは、

無作為に享楽のために銃で通り魔する女

金のために毒で殺しまくる音楽スタジオの店長

息子や嫁が殺されても冷静でいれる普通の水族館勤務の男

デリバリーストリップを生業にするカップル

マンションの貯水タンクに捨てられて幽霊になる男

集団飛び降り自殺してしまう新興宗教みたいな集団

江戸アケミ率いるじゃがたら

ある意味サイコパスなヤツらの、衝撃的なシーンを紡ぎながら、ストーリーが淡々と進行して行く

だって、チ○コまるだしだもん。

途中から、1980年の猥雑な新宿の雰囲気を映し出したドキュンメンタリーに見えてきた。

山本監督が、令和のこの時代にあの頃のテンションで、このストーリーをリメイクしたら、どんな映画になるんだろうな?

って、まだ昭和の匂いの薫る大雨の伊勢佐木町を歩きながら思った。

劇場のロビーに出たら、山本監督がいたから、直接聞けば良かったな。
けん

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