Finn

運命の瞬間/そしてエイズは蔓延したのFinnのレビュー・感想・評価

3.6
1981年、サンフランシスコやニューヨークなどでゲイ男性が謎の病気による死者が増えていることに気付いた研究者たちが、政治や利権など多くの困難を乗り越え、未知のウィルスを発見するまでの道のりを描いた作品。

HIV発見から10年後、まだ有効な治療法もなくAIDSが不知の病だった1993年公開。
実際の映像も使われていて、ドキュメンタリーを観ているみたいだった。

90年代にHIV/AIDSを題材にした作品はいくつか出ているけど、未知のウィルスを発見しようと奮闘する研究者たちにフォーカスした本作はすごく興味深かったです。
リチャード・ギアやイアン・マッケランなど出演者が豪華でびっくり。

実際に多くの仲間が病気になり亡くなっている状況でありながら「ゲイの権利」のために協力しないゲイコミュニティ。
患者がほぼゲイ男性であるために無関心な政治家たち。
金儲けのために現実を直視せず対策をしようとしない血液バンク。

研究者たちは必死なのに、いろいろな問題が複雑に絡み合って後手後手に回った結果、赤ちゃんを含む多くの人たちが亡くなってしまったという歴史に胸が痛む。
特に輸血や血液製剤による感染は日本でも大きな問題になったけど、本当に悲劇でしかない。

デマやいろんな情報が飛び交い、薬だワクチンだって世界中が混乱していたコロナ初期を思い出して、歴史は繰り返すんだなぁと改めて思った。コロナのこともいつか映画になるかな?

フレディ・マーキュリーをはじめ、エンドロールでAIDSで亡くなった著名人の映像も流れてちょっと泣きそうになりました。
楽しい作品ではないけど、知らなかったことも多くて勉強になったし観て良かったです。
Finn

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