テロメア

怪獣の日のテロメアのレビュー・感想・評価

怪獣の日(2014年製作の映画)
3.3
今話題の酷評されている映画の関連で、流れてきた監督自身のツイートで今作を知りました。

制作年数を見るとちょい前の作品らしい。怪獣の死骸問題での流れ着いた自治体と中央政府との合意や、町の住人の感情の流れなど、原発関連の流れを怪獣死骸問題として描いたのは見事でした。どこかで見たような対応や記者会見、住民デモや賛成反対が割れる住民インタビューなど、どこかで見たようなものだからこそリアリティがありよかった。

ただ、残念なのは悪役である中央政府からの役人がものすんごくチープな悪役として描かれていること。今時、やくざ映画でもあんな煽り野郎はいないって。顔面近づけてファーッ!的に吠えるとか、仮にも役人できるほどなんだから、もっとあるだろう、と。

そもそも原発事故的に描くなら、中央政府が決定事項ありきで地方自治体を納得させてこい、というような上から押し付けられ下から文句を言われの板挟み役人であった方が、主人公たる彼もこの人に言っても仕方ないという感じなら無力感が増してよかったと思うのだけどなぁ。

役人の脅し文句の「外国がやってきますよーッ!」より、淡々と怪獣への防衛出動時に南で領海侵犯があったとか、北でスクランブル発進があったとかを述べたり、1%の確率追及をしている間にかかる費用や風評被害などを試算し、それらを込みでもなお確認が必要だというなら根拠を示してくれないと自分も上に提言できない、とかいう対立があったならもっとよかったなぁ。主人公からみたら役人は悪役だろうが、役人からみたら主人公は頑なに邪魔をする悪役にみえるという対立軸が中心だと最高だったが。

まあ、かなり好みな作風だったからこそ、もっともっと、という気持ちになるのだろうな。めっちゃぐだぐだ書きましたが、導入部分を見ただけでこれは好みだと肌で感じるほどよかったですし。長編映画として新たにがっつり作ってほしいですね。
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