うにたべたい

怪獣の日のうにたべたいのレビュー・感想・評価

怪獣の日(2014年製作の映画)
4.2
30分ほどの短編映画。
評判通り面白かったです。

小笠原沖に現れた怪獣が自衛隊や米軍の活躍により無事鎮圧、怪獣の死体は目下、捜索中である旨の内閣府の発表からストーリーは始まります。
怪獣は暴れ回って、そして退治された後なんですね。
その部分のドラマについては我々は色んな映画で観ていますが、本作はその後について語られる物語となります。
主人公は海洋生物学者の青年で、死体を観光資源にしたい行政、補助金を皮算用する市民、国のメンツを優先する政府担当者の身勝手な主張に、学者的な観点で異を唱える展開です。

怪獣は基本的に沈黙した状態で登場します。
街を破壊して回ったり、軍隊と戦うというのはもうやった後のため、怪獣が街を蹂躙する姿は作中見ることはできません。
怪獣の全身は見ることはできますが、何せ動き回っていないので、怪獣すげえとかカッコイイみたいなものは無かったです。
そのため、本作は怪獣映画では無いかもという感じです。
怪獣のプロレス、特撮を目的に見るものでは無いかと思います。

カメラは危機が去った後の行政、政府、市民にスポットがあたっていて、一見去ったように見えるそれは、果たして安心していいのか、新型コロナ然り、福島原発然り、終息したら忘れていいのかという警鐘とも感じられる内容でした。
怪獣が死んでいるとは断じることができないという科学者と、それを許さない人々間のジレンマは、現実で過去に起きた色々なできごとを想起させました。
上を向いて伸び続けるのは良いけど、その根っこの問題は本当に解決しているのか?

ラストも良かったです。「だから言ったじゃーん」みたいな。
メッセージ性は感じますが、それ抜きでも映画として、十分楽しめました。