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ニック・ケイヴ 20,000デイズ・オン・アースの010101010101010のレビュー・感想・評価

3.0
ニック・ケイヴ。ヘタに触ると火傷しそうな、得体の知れない、でも滅茶苦茶気になる存在。
その秘密に、ほんの少しだけ触れられる気がする作品。

(覚書)
・ブライトンの風景
・一緒にライヴをやった時のニーナ・シモンのエピソード

・常に何か書いている。書くことで、現実が創作に近づいてゆく。日常が嘘になりつつあるという、創作のレッスンでもある。「天気日記」。
・曲を書く鍵は、異質なもの通しを混ぜ合わせ化学反応を生み出す「対位法」。

・曲を本当に理解できるまでには時間がかかる。理解される前の曲が好きだ。まだ曲に荒々しさがあり飼い慣らされていないから。野生が残るうちは、振り落とされぬよう祈り、必死にしがみつく。その瞬間をスタジオで探る。曲を理解してしまうと興味がなくなる。素晴らしい歌は、年月を経て新たな発見がある。

・一番怖いのは、記憶をなくすこと。歌の中で、ある種の世界を築いてきたが、そこで描かれるのは、個々の人生を彩る自分だけの大切な記憶。人生のほんの些細な一瞬でもいいし、心のギアが切り替わる瞬間であるとか。
作曲とは、そうした個人の記憶の物語を語り、神話化することでもある。

・人生は短く、時間を無駄にする余裕はない。ヘタな考えでも、ほんの些細な考えでも、動かないよりは動く方がマシだ。行動にうつすこと。

・ライヴや歌は、海獣を水面に誘い出し、既知のものや現実を突破して出現させるための手段であり、ユラユラときらめき空想と現実が交錯する場所。そこに愛と涙があり、人生がある。