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パレードへようこそのdaiyuukiのレビュー・感想・評価

パレードへようこそ(2014年製作の映画)
5.0
1984年、サッチャー政権下のイギリスは不況に苛まれていた。サッチャー首相は20ヶ所の炭坑の閉鎖案を発表するが、炭坑労働者たちはこれに反発。
抗議のストライキは4ヶ月目に入ろうとし、炭鉱労働者とその家族たちは生活が困窮していた。
ロンドンに住むマーク(ベン・シュネッツァー)はそのニュースを見て、ゲイの権利を訴える大々的なパレードの中で仲間たちと募金活動を開始。
そして炭坑労働者支援のためのレズビアン&ゲイ会LGSMを立ち上げる。
しかし集まった寄付金を送ろうと全国炭坑労働組合に連絡しても、レズビアン&ゲイ会と名乗ると偏見から冷たくあしらわれてしまう。
それならばとウェールズ奥地にある炭坑町ディライスの役場に直接電話したところ、今度はすんなり受け入れられる。
ディライス炭坑を代表して彼らのもとにやってきたダイ(パディ・コンシダイン)は、LGSMがどういうグループか全くわかっていなかった。
ダイは偏見を持たずにゲイ・バーを訪れ、お金ではなく友情をもらったと大勢の前で熱く語る。このおかげで賛同者は増え、ディライス炭坑への多額の寄付金が集まった。
ディライスの委員長ヘフィーナ(イメルダ・スタウントン)は感謝の意を込めたパーティを企画し、反対を押し切りLGSMを招待。ヘフィーナや書記のクリフ(ビル・ナイ)はミニバスに乗りやってきたLGSMのメンバーを歓迎する。
困惑する者もいたものの、次第にメンバーも町人たちも心を開き始め、歓迎会は大いに盛り上がった。
ストは42週目に突入し、組合員の家族手当が停止。LGSMがさらなる支援を決める中、ある不測の事態が起こる……。
家族に内緒でゲイの支援活動に参加するジョーと炭鉱労働者と連帯しようとするマークを対比させながら、仲間内でも考え方や立場は違っても、同じ目的や共通点を見つけて連帯することの難しさや葛藤を含めてユーモラスに描かれていて、話し合い飲み食い遊び苦楽を共にしながら少しずつ偏見や誤解を解いていく過程も丁寧に描かれ、属性や信念の違いはあっても共通性を見つけて連帯することの難しさと素晴らしさをメッセージする爽やかな後味の傑作映画でした。
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