猫と佐藤健くんが好きなら、迷わず見るべき映画。
自分の生きる世界からひとつずつ、自分が大切にしたい物が消えていってしまうなら、私はその世界を生き続ける価値のある世界だと思うことが出来るだろうか、
終始その問いが頭から離れなかった。
主人公の住んでいる古いアパートやヒロインの働く古い映画館、その上にあると思われる彼女のお部屋など、
その、居住空間のノスタルジックな設えがとても素敵で、きっとこういう少し前の古き良き時代がお好きなんだろうな…なんてしみじみ。
親友が働くレンタルショップも昭和な感じで、一瞬VHSかな?なんて思ったりして…バーコードでピッてやってて…あそっか、そうだよね、DVDだよね、なんて思ったり。
シーンの色んなところにもしかしたら名作映画へのオマージュが隠れていたのかもしれないけれど、私はふたりの間で交わされる映画の名セリフを聞き取るので精一杯だった。
明日死ぬかもしれない、
確かにそうだ、それは誰にもわからない。
音をたてて時を刻む時計は、かけがえのない一瞬を今生きていることの象徴。それが、仕事の締め切りやら何やらで、
なんだか追い立てられるように生きているような気がする現実。
終わりを迎えるその時に、これで良かったのかな、なんて、死神と相談できる時間があるかなあ。あるといいけど。
余命を生きる物語という悲壮感はなく、生まれてきたことの意味を再確認するための回想録といった感じでした。