垂直落下式サミング

こっくりさん 日本版の垂直落下式サミングのレビュー・感想・評価

こっくりさん 日本版(2004年製作の映画)
4.2
いとうあいこ出演作品のアーカイブを追いかける。どうやら、彼女はホラーに出ていた。みなければならなかった。
2003年に放送されていた『爆竜戦隊アバレンジャー』で、戦隊の紅一点・アバレイエローを演じた「いとうあいこ」さん。おでこが綺麗で、目鼻立ちがキリッとしていて、笑うと口の下のところにえくぼができる。ホント顔が好き。かわいい。美人。どちらの誉め言葉でもしっくりくる。そんでスタイルも抜群である。フリマアプリで10年以上前の写真集を買うくらい好きだ。どうだ、キモいだろう。
アバレンジャーのテレビシリーズ本編には、彼女に助けられたカメラ好きの少年が、自転車に乗って去っていく彼女の後ろ姿を写真におさめて、大人になってもふとした時にそれを眺めては子供の頃に体験した不思議な出来事に思いを馳せているっていう、これまたキモいエピソードがあるんだけど、あの頃はまさか僕がそうなるとは思わなかったな。
映画は、地方の都市を上から見下ろして、ある一軒の家のなかに入っいくと、四人の子供がこっくりさんをしているところからはじまる。
そこで子供時代を演じている子役ちゃんは、いとうあいこさんの顔立ちにかなり似ていた。嬉しいな。くりっとした眼と、キリッと上がった眉毛、丸いおでこのかわいさとかも似ているし、ほっぺたの上にあるほくろの位置までよく再現してあるぞ!(キモい)
アバンタイトルの後、そこから大人あいこに時代がジャンプカット。純真無垢な子供時代からのギャップで、かなりダイナミックな感動だ。不動産屋で仕事をしていて、無表情な接客で上司に怒られてしまう。髪を束ねてつまらなそうにしている表情は、これはこれでセクシーだった。(キモい)
いとうあいこのアイドル映画としては申し分ない出来映えだったと思う。彼女の見せ場について書き出すと、ちょっと趣味趣向以上のものが滲み出すぎて見苦しいと思うので、ここらで映画のはなしに軌道修正させていただく。
物語のほうは、オーソドックスなオカルトホラー。かつての「こっくりさん」が「エンジェル様」に名前を変えて子供の生活のなかに入り込んでいるのは、都市伝説らしい気味の悪さ。
小さな町に暮らす主人公たちが、亡霊との因縁を解消し運命を変えようと頑張る映画は、最近は同じようなものを何本もみたような気がする。『イット』とか『ハロウィンキルズ』もそうだった。昨今流行りのアーキタイプ。
幼馴染みのひとりは地元で学校の先生になっていて、教室でこっくりさんをやろうとした生徒を怒鳴り付けるのだけど、輩みたいな怒りかたでビックリ。教師の体罰は問題視されてたけど、まだまだギリ容認って程度だった2000年代の微妙な雰囲気に懐かしさが残っている。
もうひとりは、東京の出版社から左遷された記者くずれの女性。出番は少ないが、私は今まで都会で頑張っていたし、本当はもっとやれたはずなんだと、いけ好かないプライドも見え隠れする。演技が上手い。
そんで、精神病院に入院している患者が手がかりを握っていて、その主治医も関係して物語に交差してくる。よし、役者はそろった。怪異に立ち向かえ!
視覚的な表現は、奇をてらわずにペーソスに徹しているのが好ましい。特によかったのは、ひとり暮らしの家に帰宅した主人公が、亡霊を見てしまうシークエンス。背中越し、足元、横顔へと、亡霊の姿を少しずつみせながらショットが移動して、覚悟を決めて顔を向けるとそこには誰もいない。ホッと一息…。
女のひとり暮らしには広すぎる一軒家、仏間には母の遺影、たくさんの段ボール、女の子からもらったエンジェル様の人形を適当にしまって、くたびれた様子で電気もつけずに廊下を歩いていく。生活を覗き見してる感…うん、背徳的。
地味な演出だが、これだけでこのキャラクターがどんな日々をおくっているのか、みるものに想像させる映像のモンタージュとして機能しており、オーソドックスで月並みだけれど、しっかりと映画をわかってる人が撮ってる感を醸している。ただの推しすこ映画的な姿勢ではいけないなと、途中からは姿勢をただしての鑑賞となった。
現在、いとうあいこさんは女優業を引退されていて、公の場での活躍を見ることは、残念ながらできない。とはいえ、2010年にご結婚されたとのことで、幸せな生活を送られているのだろう。好きな人が幸せなら僕も幸せだ。推しの幸せは僕の幸せ。善良オタクは揺るがない。
ちなみに、準主役の長澤奈央は、同じく戦隊女優のハリケンブルー。こちらも性癖である。