爆裂BOX

こっくりさん 日本版の爆裂BOXのレビュー・感想・評価

こっくりさん 日本版(2004年製作の映画)
3.7
子供の頃にこっくりさんをして友人を失った過去を持つ不動産会社に勤めるOLひふみは不可解な現象に巻き込まれていく…というストーリー。
「爆竜戦隊アバレンジャー」のアバレイエローを演じた元女優のいとうあいこと「忍風戦隊ハリケンジャー」でハリケーンブルーを演じた長澤奈央の特撮ヒロイン二人が共演する「こっくりさん」を題材にしたホラーです。監督は「ほんとにあった!呪いのビデオ」制作してる方ですね。このタイトルは同時期に韓国の「コックリさん」公開されてたからか。
子供の頃にこっくりさんを行ったいじめっ子が現れた「何か」に襲われる所を目撃したひふみ。務める不動産会社で以前担当した母子に呼び出されて赴くも姿はなく、片耳だけ残されていた。そこはあのいじめっ子が以前住んでいた家だった。更に周囲でも不気味な現象や一緒にこっくりさんをしていた友人がおかしくなるなどの出来事が相次ぎ、仕事で知り合った同じく奇妙な出来事と遭遇する臨床心理士由佳と共に原因を探るという内容です。
前半は主人公ひふみの周りで起きる怪奇現象や一緒にこっくりさんをやった友人がおかしくなっていったりとJホラー感漂う雰囲気で進んでいきます。派手なシーンはないですが、赤いフード付きの服を着て顔が半分崩れたかつてのいじめっ子や、もやがかかったような子供達の幽霊?の姿は割と不気味ですね。白塗りで目の周り黒くしたパンダメイクはちょっと笑えるけど。壁に突然現れる肉肉しい小さな扉に子供が引きずり込まれていくシーンも不気味ですね。続発する子供の行方不明事件や教室に来る子供の数が減っていく所など不穏な空気感じさせる所も良いですね。
Jホラーな感じで油断してると、冒頭子供が指引きちぎられたり四肢切断された死体が出たり、窓ガラスに顔と手の皮が貼り付いてたりと唐突にゴア描写が放り込まれます。
主人公が物件を担当した縁でプライベートでも一緒に行動するようになった由佳と何時の間にか下の名前で呼び合う仲になってたのは距離感いきなり近くなりすぎではとちょっと百合っぽさ感じました。長澤奈央の役は主人公引っ張って事態を何とかしようとしてたけど終わってみればあんまり役には立ってなかった気がしますね。最後身体張って主人公逃がしてたけど。主演二人とも美人でした。後、主人公と友人が会うバーの客で白石晃士監督がカメオ出演しています。
主人公達は事態の元凶と言えるいじめっ子をこっくりさん使って何とか帰そうと奔走しますが…主人公の身の回りで起こってた出来事が何時の間にか街全体、最終的に人類滅亡までスケールが広がる終盤の展開は驚きでしたが「回路」を彷彿もしました。助けた少女と共にどこかにあるかもしれない安全地帯目指すラストは終末系映画と言えますね。ちょっと「ターミネーター」一作目のラストも思い出したかな。
冒頭とラストで出てくる子供達がこっくりさん呼び出す際の「第三惑星地球の」という言葉やラストの展開など実は心霊ホラーと見せかけた侵略SFホラーだったんでしょうね。日常がジワジワと侵食されていく感じは「ボディスナッチャー」や「光る眼」彷彿しますし。赤い服着たいじめっ子の顔が半分崩れてるのも擬態が不完全な状態で終わってるととれるな。
日本では珍しい侵略SFホラーを心霊物のように撮った一風変わった隠れた名作と個人的に思っています。こっくりさんがきっかけで人類滅亡まで話が広がっていく無駄にスケールがデカい展開も好きですね。