たてぃ

海の沈黙のたてぃのレビュー・感想・評価

海の沈黙(2004年製作の映画)
4.5
「沈黙は語る、ピアノとともに」的な作品で最後は泣いちゃいました…
1941年冬、ナチス占領下のフランスのとある海沿いの町に住む老人と主人公の孫娘(ピアノ教師)の屋敷にドイツ軍将校が住み始めてから出て行くまでの数ヶ月間を描いた作品。
ナチスに占領されたせいもあるが、娘にとっては父を、老人にとっては息子を敵国であったドイツとの戦いであった第一次世界大戦で失ったため、2人はそのドイツ軍将校を完全無視(抗議の意味も込めて&ピアノ弾きも沈黙)。しかし、その将校は絵に描いたような好青年。たとえ無視されようとも彼は帰宅した際には2人に話しかける(まるで独白のように)。すると彼の素性を知ることにより彼に少しずつ共感し始める(フランス好き&軍人だが音楽家でもある&彼の父も戦争で亡くなった)。また彼の行動(子供が怪我をしてるのを見かけてすぐに抱きかかえ家にまで送っていく姿とか)を見て孫娘は少しずつ彼に魅了されていく。しかし、レジスタンスの影が少しずつ見え隠れし…

この作品は「沈黙」のシーンがとても多くまたストーリー自体もユルいので退屈かもしれません。しかし、その「沈黙」に込められたメッセージを読み解こうとすることによって作品の見方も変わるかと思います。

約5年間のナチス占領下のフランスではドイツ軍兵士とフランス人女性が恋に落ちたことは結構あったようでしたが(実際に子供まで授かった人もいた)、結末は悲劇的でした…男の多くは戦場で死に、女の多くは戦後公衆の面前で丸刈りにされさらし者に…まさに戦争によって引き裂かれた愛…この作品もある意味引き裂かれた恋愛を描いたものだと思います。

「ベル&セバスチャン」同様、ドイツ軍兵士にも良い人はいたことを描いたこの作品。フランスの寛容さがうかがえる作品でした。

【蛇足】
予告編がないようなので…

https://m.youtube.com/watch?v=oSnjupEqNZc
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