どうしようもなくしょぼくれた中年探偵が出てくる映画には、特有の魅力がある。いつもは迷子猫探し、でもいざとなったら…みたいな奴ではなくて、本当に徹頭徹尾ダメな探偵こそ素晴らしい。仕事も300＄とかその程度。
この作品の主人公がまさにそれで、「仕事中に酒は飲まない」とか言いながら、無料と知るとつい…なんて辺りは本当にダメ探偵らしさが溢れている。
娘のことになっても、どうしてもいつもの弱さが出てしまう。人間らしさとは、そういうものだと思う。体温と生活感が滲み出ている。
相棒となる暴力馬鹿のおっさんも良い。善悪も損得も暴力で計る、みたいな突き抜けた馬鹿っぷり。
敵役が怜悧で計算高く、何を考えているのかわからないのも良かった。いかにも巨悪、凡ミスは犯さない。
そんな素敵な人達が、ブギー＆ファンキーな音楽と、少し前のアメリカンな風景のなかで繰り広げる王道の娯楽作。お話としては、昔からあるハードボイルド映画なのに、どこかコメディの色がついていて飽きない。
これ、シリーズ化しないだろうか。楽しい作品でした。
