このレビューはネタバレを含みます
映画のなかで、市の職員が「葬儀は死者のためのものじゃない。弔う者がいなければ不要だ」とスパッと言い放ったことに絶句。死者の弔いって、なんのために行うんだろう。本人の遺志ならともかく、あなた(行政)が不要と言うのはなんだか寂しい。
“人の死”をそんなふうに扱う行政でいいんだろうか。そんなにさっぱりとした風で、違う場面にも臨むのかな。そんな社会は寒々しいし、残念だと思いました。
ラストのシーン、皆が集ってきた時に、ふいに気持ちが昂ぶり泣いてしまった。
“良かったね”とか“救い”？ それも感じたけれど、なにか違った。もっと色々混じり合っていた。こんなことになるなんてと思う。私は悲しかった。この人は死んではいけないと思った。でも、そういう感情も、何か違う気がする。うーん。
それでもやっぱり、私は。
ジョン•メイは、些細な共通点に気づく。人を大事にできてそれを行動で見せることができる。人に優しくて、自分の価値観のもとで真面目に生きていて、でもちゃんと柔軟性もある。かつて生きていた命への敬意がある。ジョン•メイにいてほしい。
それにしても、制作した人は、この結末で、何を伝えたかったのかなぁ。気になる。
あの表情は、なに？
私は悲しかったけど、それは私が「死んだらおしまい、生きてこそ」と思っていることも影響していて、ジョン•メイにとってどうだったかは別。ジョン•メイ自身は、死をどう考えていたんだろう。見晴らしの良い場所で眠りたいという思いは、最後も同じだったんだろうか。
