福福吉吉

サンバの福福吉吉のレビュー・感想・評価

サンバ(2014年製作の映画)
3.0
フランスでサンバ(オマール・シー)は10年間、ホテルのレストランで真面目に働いていたが、ビザが切れていたため、不法滞在者として収容されてしまう。そんなとき、移民の問題を助けるボランティアとして活動するアリス(シャルロット・ゲンズプール)に出会う。サンバには国外退去命令が下されるが、サンバはそのままフランスで隠れて生活する。日雇いの仕事で生きる日々のサンバだったが、アリスと再会し、親交を深めていく。

ストーリーは移民や不法滞在の問題を背景にしているが、問題に対するメッセージ性より、サンバとアリスの間に起きる大小の出来事を明るくコミカルに描く喜劇となっています。

サンバは明るい性格で、不法滞在で日々の暮らしに困りながらも楽しむことを忘れない姿は、観ていて楽しくなってきます。
そんなサンバですが、生きるために名前や国籍を偽ることのつらさを吐露するシーンはそれまでの緩い空気を一変させ、サンバの苦しみが伝わってきて良かったと思います。

アリスは日々の仕事に追われ、重圧に耐える日々に燃え尽きてしまった女性として描かれており、チャーミングなんですが、どこか疲れて困憊しているような表情が常につきまとっていて苦しそうな印象を受けました。しかし、サンバと再会し、つきあっていくうちにアリスが少しずつ回復していく姿はとても上手く描かれていました。

サンバとアリスはお互い惹かれ合いながらも、どこか不器用ですれ違う様がとても面白かった。

また、サンバと仲良くなるウィルソン(タハール・ラヒム)もサンバと同じく不法滞在者なのだが、彼はサンバ以上に陽気で、窓ふきの仕事で女性だらけのフロアで高所なのにダンスし、服を脱ぎ始める姿は面白かったです。また、サンバとアリスの仲を後押しする人の良さも好印象でした。

終盤、突然の伏線回収からのシリアス展開に驚きました。サンバの選んだ結末は決して正しいものではないけれども、彼の生きるための選択だったんだろうと思います。棚から牡丹餅な展開も喜劇的ですね。

移民の問題のシビアに描いた作品で無いので、あくまでコメディと考えて気楽に観る作品だと思います。普通に面白かったと思います。

鑑賞日:2022年9月21日
鑑賞方法:BS/CS
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