このレビューはネタバレを含みます
シャルロット・ゲンズブールは本当にエイジレスな魅力のある方ですねぇ(〃ω〃)
社会に追い詰められて、自分を見失いそうなアリス。偽造許可証や別人の名前で、自分を見失いそうなサンバ…そんな二人が惹かれ合い、心を通わせていくストーリー。
それを飾り付けるのは、移民問題という硬質な現実と生きる事の難しさ。
自分を偽った事のない無垢な人はいる?
自分が誰なのか、確信を持てる人は?
他者からの認識で変化する自分がいる。
『自己』は世界の最小単位のようでいて…
『自己』から見る世界が全てであれば最大単位にもなる事に、それは似ている。
誰もが『自分』を生きようとして、誰もが何かに邪魔をされて形を変えていく。
幾重にも重なって、複雑に絡まって…
これが私だ!の反対側から見える世界。
それでもあまり悲観的ではなく、どこか軽やかに描き出されている。
肌の色、仕事、言葉…
色んなものが人を隔ててるけれど…
自分なりの生き方があって、そこからどうやってパーソナルな心の糧を見出すか。
自分の置き場所を見つけるのか…
誰かに卑下されたら、きっと傷付く。
でも、自分が自分を卑下すれば…本当に卑しくなって、価値を下げてしまう。
他者から与えられる価値。
自分で見つけ出す価値。
互いが、みんなが笑顔であること。
みんなが笑顔で踊っているシーンが、とても印象的に心に残りました。ボーダーレス。
もし世界から国境が消えて、誰もが何処にでも行けるようになったとしたら…世界はどう変わるだろう。
それでも何かしらかのコミューンが生まれて、他のコミューンとの衝突が起きて…何も変わらないかもしれない。
でも、自分が必要とされる場所が見つかれば…諍う必要も、減るんじゃないかな。
絡まった糸を解くのには…何が必要?