多タロ

地上の星たちの多タロのネタバレレビュー・内容・結末

地上の星たち(2007年製作の映画)
2.6

このレビューはネタバレを含みます

アーミル・カーンプロダクションお得意のお綺麗な"だったらいいのにね"的社会派作品。
2時間半超えのストーリーはかなり冗長なシーンが多く、前半は障害児童・イシャーンが障害故に上手く日常生活を送れないくだりが描かれるのだが、これがあまりに長いため内容も相まって辟易とさせられる。さらにキャストとして一番最初に表記されているはずの主演はアーミル・カーンが1時間をゆうに超えたところでようやく登場するのにもげんなり。おまけに彼が登場した途端にそれまでの少年の辛い毎日の描写は店仕舞いとばかりにカメラがアーミル・カーンばかりを集中して映すためなんともアンバランス。今作は彼の監督デビュー作だそうだがもう少しなんとかならなかったのか。
後半のストーリー展開もイシャーンには所謂ギフテッド的な絵描きとしての才能がある=全ての子どもはなんらかの可能性を有しているかもしれないのだから尊重すべき。それまでイシャーンを冷遇してきた保護者含めた周囲の人間改心めでたしめでたしというありがちなおめでた話でまとめられるのだが、作中にも舞台装置として少しだけ登場する悲しいかななんの生産性も持ち得ない大多数の障害児に関してはなんのフォローもなくスルーされるのだから、結局のところ才能を持ち得た一握りの幸運な人間だけが幸せを掴み取れるという残酷な結末にしかなり得ていない点が残念。
「障害児が何故問題行動を繰り返すのか」という問いに対し、子どもの自尊心を引き合いに保護者を説得(というか論破というか)するシーンなど、障害児童との接し方についての啓蒙的意味合いで光る部分はあるものの、大筋としてはやはり不満が残る。特別学級を頭ごなしに全否定するような思想の強さも見ていて気持ちの良いものではない。難しいテーマをメインに扱う以上、薄っぺらい上澄みだけを照らすような作り方はしてほしくはなかった。
余談だがアデノイドのインド人役者を見るのは初めて。あえてイシャーン役にこの特徴が顕著な子役を充てるのはベストチョイスであるが、東洋人の側から見るとなんとも意地が悪いように感じられてしまう 笑
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