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デッドプールのaliceのレビュー・感想・評価

デッドプール(2016年製作の映画)
5.0
面白かった。以下、雑記。
第四の壁がどうとかいう話が多いが、それ自体はたとえばウッディー・ウッドペッカーでさえ破るのでどうでもいいとして、重要なのは、自身の悲惨な人生を客体視するために彼が我々に話しかける必要があるという点だろう。
また、敵であるフランシスの造形が雑すぎるのもいい点。ヒーローものの真の主人公はヴィランであると言っていいと思うが、この映画では、もっぱらデッドプールが自身の容姿と恋人とを取り戻すことだけが問題になっており、極めて主観に根差したものなので、敵なんてほとんど邪魔な存在でしかない。
主人公の主観から始めて、敵に対して哀れみを抱かせ、最後には世界の均衡を取り戻すという一般的なヒーローものとは真逆に、自身の生活を客体視する視点から出発して最後には主人公の主観に帰着するあたり、普通の映画と違う方を向いている。
金もそれほどあるとは思えず、知性にも欠け、唯一身体能力だけが誇りの青年が、その身体を内部からも外部からも傷つけられ、しかし最後にはそれにもかかわらず恋人を取り戻す、というのはいい構図。
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