8さん

デッドプールの8さんのレビュー・感想・評価

デッドプール(2016年製作の映画)
4.2
ヒーロー至上類を見ないクソ無責任ヒーローの下品で自己中全開の活躍を描いたアクション作品。

タクシーに乗って目的地へ急ぐ、全身赤いコスチュームの男。彼は運転手に、自分の名前を「デッドプール」だと告げる。タクシーは目的地に到着。到着したのは、ハイウェイの上だった。デッドプールは、そこで宿敵への復讐を果たそうとしていたのだ…。

そこから遡る事2年。ウェイド・ウィルソンは、かつて特殊部隊の有能な傭兵だったが、第一線を引退。好き勝手に悪い奴をこらしめ、金を稼ぐというヒーロー気取りの生活をしていた。

そんなウェイドが一夜の相手として知り合ったのが、娼婦のヴァネッサ。最初のベッドインがあまりに完璧だった為、彼等は1年の同居を経て結婚を決意する。幸福な未来が待ち受けると思ったのも束の間、ウェイドは原因不明の痛みに襲われ、全身にガンが転移していると診断されてしまった。余命はあと僅かとなり、激しく落ち込むウェイドに声をかけてきた男がいた…


『クソ無責任ヒーローですけど、何か。』


まず下品な下ネタと、血が飛び交い痛々しくえぐいバイオレンス要素を含んだアクションシーンがある為、耐性のない方には厳しいかもしれませんが、新感覚のニューヒーローと振り幅の広いボキャブラリーで、軽快なリズムを刻みながら楽しめるでしょう。

良い意味での開き直りで、冒頭からびっくりする程楽しめる要素が詰まった今作は、クソ無責任ヒーローの下品な立ち振る舞いだけではない。様々な時間軸を元に説得力とユーモアのある物語展開を魅せてくれる。

ぶっ飛んだヒーロー像を提示している上にデッドプールのキャラクターのインパクトが強すぎるせいで、物語の最大の目的であるテーマが薄れている。しかし、その中身は意外にも堅実でシリアスさも兼ね備えているので、クソ無責任ヒーロー誕生の物語としては大成功だと言えるでしょう。
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