エソラゴト

デッドプールのエソラゴトのレビュー・感想・評価

デッドプール(2016年製作の映画)
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史上最も下品でお下劣な純愛ラブストーリー?


ここ最近の乱発傾向のアメコミヒーローものには些か食傷気味なのは否めなかったが、予告編のアクションの突き抜け具合や軽妙な笑い、本国での評判の高さから思わず劇場に足を運んでしまった。

人を喰ったタイトルロールのオープニングから現在過去を往き来する展開、主人公デッドプールの正にマシンガントークやR指定も納得のバイオレンスシーン等予告編以上の作品の完成度にあっという間の108分。

80年代を意識した笑いや選曲、有名人・映画ネタはやはり青春時代にこの年代を過ごした身からすると頬が緩みっぱなしだったのは確か。個人的には『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』よりも今作のギャグセンスの方が好みだった。また"第四の壁"を映画内で台詞として語ってしまうという反則技に近いところも何気に面白かった。

主人公の行動原理が所謂「正義」という大義名分ではなく個人的な恨みや復讐心から来ているある意味アンチヒーロー的な要素は最近乱発気味な正統派ヒーローものを当事者のマーベル自体が皮肉っていて大変興味深かった。

やはりこういうガス抜き的なお気楽な作品もないと観てる方もきっと息が詰まるのだろうか、本国アメリカでのヒットは作品の出来以上にそういった部分が起因しているのではないかと感じた。

主人公の元傭兵ウェイド=デッドプールを演ずるのは出演前作『黄金のアデーレ 名画の帰還』の実直な弁護士役と同一人物とは思えない変貌振りのライアン・レイノルズ。過去作から鑑みるとこちらの方が本業のようだ。自身の名前まで出す自虐ネタは少々やり過ぎ?