Solo1968

セッションのSolo1968のレビュー・感想・評価

セッション(2014年製作の映画)
3.4
 予告編で映る師匠なのか?先生なのか?による強烈なスパルタ指導の場面のインパクトから怖気づいてなかなか鑑賞に至らなかった作品をようやく鑑賞。

 想像していた、覚悟していた 問題の指導という名の演出は僕のそれを遥かに上回り、ある意味作品に入り込んだ証で、戦争、スパイ、ホラーものでなく、音楽がテーマの作品とは思えないような、最後の最後まで背中の筋肉が強張る程の作品でした。

 趣味で楽器を触り、楽しむ事を長く続けてきた自分とは別の世界で主人公を始めとした生徒達をはじめ、もちろん教える側の本気度の描写は凄まじく、音楽の世界での地位を確立して生業にする事の敷居の高さを誰もが思い知らされる、、はず。
 序盤でのスタジオにおける初の練習場面において、テンポが合っていない!事に対する詰問には映画を画面越しに見ているだけなのに、どっちなんだろ?と真剣に教師のカウントに全神経を注ぎ主人公の演奏を聞き入るが、もちろん全く何が合っていないのかは分からず、主人公と同じ恐怖感を味わうことになり、その後もうっすらと、この鬼教師が、主人公にだけ優しくなるというなまっちょろい展開はあるはずは無いと踏み、いつ怒鳴りつけられても良いように、(苦笑)警戒を常に張ったまま観た。


 ラストのステージでのアドリブ演奏シーンは、好きなロックバンドのドラムソロすら正直退屈と思ってしまう自分だが固唾を飲んで息を止めて見入った。
 そこでも決して 鬼教師の笑顔が出て、会場から拍手喝采が起きて、プロとしてのスカウトに!!みたいな安易なエンディングにはならないと気を張りつつ、。

 このエンディングでのカメラ割りが何とも絶妙で、もちろんこの役者さんの演技あってこそだが、
台詞も顔全体も映さずにその後の展開を感じさせる幕引き。

 ジャズという、これも自身にはあまり身近ではないジャンルで、確かにロックポップとは異なるマナーがあり、テーマとアドリブでの演奏者間での意思の疎通と演奏技術が伴う事でミラクルを産むような ある意味緊張感の高い音楽の一つとも思えるが、作品の世界観から逸脱する事なく 楽しんで聴けたのはごく僅かで、初デートで行ったしょーもないピザ屋のBGMで流れている場面程度だった。

血の滲むような努力という言葉は良く聞くが 血が滲むどころでなく本作の描写にあるような血が止まらない程の努力は、僕が当たり前に普段聴いている新旧の有名なアーティストの人達の大半にあるはずだろうとも思えた。それは肉体的な演奏技術のみならず、音楽を生み出す苦悩しかり、自分の音 をいついかなる時も出せる技術など。

 まあ、それにしても先生の生徒を挑発するための暴言とそのボキャブラリー、、よくもこうすらすらと出てくるなぁと 変なところに感心してしまった、。

 エンディングがやはり、良い締め方で、素敵だなと、、。ただ怖さはそれでも消えないけど^_^
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