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セッションのunepistのレビュー・感想・評価

セッション(2014年製作の映画)
4.0
名門音大に入学したドラマー志望の青年ニーマンが、音楽に狂気的な情熱を捧げるフレッチャー教官に才能を見出され、血ヘドを吐くようなトレーニングに打ちのめされながらも、ミュージシャンとして成長していく物語。
指導方針や言葉遣いなど、鬼軍曹としか思えない教官の度を越えた指導を乗り越えて、ニーマンが成長して認められてゆくストーリー、、、だと最初は誰しもが思います。でも違うんです。この映画は音楽のためならば人間性をも捨てられる男の、狂気的なまでの哲学の前で「貴様も全てを捨てられるか」という問いへの答えを出すための物語。次第に狂気に目覚めてゆくニーマンを、視聴者が理解できなくなる様を描く物語です。怒涛のようなジャズドラムの演奏に、まさに打ちのめされそうになる圧巻の作品でした。
ラストシーンの解釈は様々あるようですが、僕としては教官の「本物は挫折しない」という哲学や、伝説的なサックス奏者がシンバルを投げつけられたエピソードから想像を膨らませるべきかと思っています。そのあたりを考えると、作品中盤で教官が涙を流したシーンの意味も180度転換して、まさに狂気ということになります。
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