Demoitu

セッションのDemoituのレビュー・感想・評価

セッション(2014年製作の映画)
4.5
生徒と先生、ドラマーと指揮者、人間と人間、「セッション」と邦題を付けたのも納得の結末。圧巻で美しい人間ドラマ。

最高峰の音楽大学に入学し、ドラマーを目指すニーマン(マイルズ・テラー)は1人ドラムの練習に励んでいると学院最高の指揮者であるフィッチャー(J・K・シモンズ)が部屋に入ってくる。ニーマンはその傲慢に人を試すかの様な物言いに戸惑いながらやり過ごす。
ニーマンは学院のバンド練習に参加していが、ほとんど叩かせてもらえない。そこへフィッチャーが練習を見にきてニーマンを自分のバンドへ引き抜いていく。
ニーマンは晴れて学院最高峰のバンドに加入できたが、そこはフィッチャーの怒号が飛び、一度ミスをすればすぐさま降板させられる修羅場だった...

JAZZバンドの話なので演奏自体がJAZZなのはもちろん、BGMとしてもJAZZ音楽が流れてきて全編通して音を楽しめる作品であり、それ以上に目が楽しめる作品だった。
顔のアップや視線誘導のピントムーブ、画角にドラスティックな色彩表現。
痛みや動き表す絵作りが上手く、その場の雰囲気が絶妙に作り出されるので見ていて気持ちがいい。

そしてなにより人間が壊れている。
序盤はフィッチャーの人を人とも思わない様な無慈悲で冷酷な怒号に「こいつ、やべぇ...」となるが、そうなってはいけない。中盤、ニーマンもその狂気具合がイカれていることに見ているものは気付かされる。手の皮が剥けながら、何度も絆創膏を貼りなおしながらもドラムを叩き続ける場面でおやっとおもい、交通事故にあった瞬間にもまっさきにドラムを叩く事が脳裏に過ぎるところで「こいつもやべぇ...」となる。
そして、物語が転換しクライマックスは向かう。本当に演奏に入るまで想定している結末が演奏が始まる直前のフィッチャーの言葉で覆され、演奏が始まった後にそれをも覆してくるまさに狂気と狂気のぶつかり合いを見せられるセッションに「こいつらやべぇ...」となる。
しかしそれは決してネガティブな「やべぇ」ではなく、監督を含めて称賛の意味での「やべぇ」。

映像・音楽・脚本、どれをとっても最高に楽しめた作品でしたので現状の自己最高の4.5。

「バビロン」を見てチャゼル監督との相性を計りかねていたところで見た作品だったが、、、圧倒的に良かった。
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