朱音

セッションの朱音のレビュー・感想・評価

セッション(2014年製作の映画)
4.6
J・K・シモンズ恐ろしや。この人以上に「飴と鞭」の使い分けがうまい人は居ないだろうに…。鬼の形相で追い詰めてくるかと思いきや優しい言葉をかけてくれたり,繊細な表情で美しい旋律を響かせる。でも自分が求める物に対して「足りない」と感じたら鬼に変わる。彼の求める理想が高過ぎて誰もついていけない。楽団を「モノ」としか認識していない哀しい人物って印象。そしてそんな人に憧れてしまった才能ある生徒を演じるのがマイルズ・テラ-。彼は確かに才能はあったのに間違った人に出会ってしまい挫折を味わう。でも彼の才能以上に凄かったのは執念。普通は事故ったらステ-ジには立ちません。そしてラストのステ-ジでの攻防戦は息もつけないほどの迫力で圧倒された。音楽の一体感って「信頼」も必要ではないのかな⁇なんて思ったけど,そうでもないのかな⁇あんな戦場のような,軍隊のような楽団の緊張感には私はとてもじゃないけど耐えられません。あの極限の雰囲気が無ければ実力を出し切れないのならそれはもう「天才」とは呼ばないんではないかと…そんな風に思えてしまった…。
凄く緊迫した空気の作品なのに所々ユ-モアも感じる不思議な作品。何気に鍛え上げられた肉体のJ・K・シモンズに思わずニヤリとしてしまう。
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