しろわ

セッションのしろわのネタバレレビュー・内容・結末

セッション(2014年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

作品としてはとても素晴らしいと思う。芸術とは文字通り血のにじむような努力とそれを可能にする狂気の上に成り立つ、という前提の元、フレッチャーとニーマンの両面から傑作へ至る狂気を描く。きっとこの作品自体も血によって作られていて、入れ子構造を感じる。プロットも緊張と緩和を無限に繰り返していて、終始ヒリつきながら見てた。ラストのタイトル回収もアツい。即興こそがジャズである。ただ、ニーマンが何故ここまで反骨心を持って音楽に向き合えるのか、その背景は謎だった。家族?
けど俺この主題嫌いだ!!!!これは努力がまともに報われた経験がないという極めて個人的なものだけど、鑑賞ってそういうもんだろ。999人の屍の上に1人の傑物を置くエリート教育は成功者が語ってもただのポジショントークだ。フレッチャーが結果を出しているのはそうかもしれないし、結果のため、愛ゆえの罵詈雑言も仕方ない。(フレッチャーは教え子を思って泣ける愛のある人物である!(追記:フレッチャーはニーマンにカマをかける際「自殺した生徒の同期が〜」と言っており、自殺であることを知っていた。涙はブラフ。コイツヤバ。))これは部活の指導でもあるあるでは?
しかし、その実教え子は鬱で自殺しているという現代的な釘刺しが入る。これがなければエリート礼賛だけの作品になっていた。屍サイドの人間としては、素直に成長や傑作を受容出来なかった。
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