サプライズ

セッションのサプライズのレビュー・感想・評価

セッション(2014年製作の映画)
4.6
才能でぶち殺せ!

10周年記念リバイバル上映にて。
デイミアン・チャゼルの作品(「ラ・ラ・ランド」「バビロン」)は大好きで、本作も見よう見ようと思って、ずるずると時間が過ぎてしまった。そんな最中に映画館での復刻が決まったからすかさず鑑賞。これは...いいぞ...。3月14日までだけど、時間がある人はぜひ見てほしい。欲を言えばDolbyで見たかったけど、一発目が映画館ってだけで最高。
音楽映画なのに、音楽に恐怖を覚える。楽器に限らず、スポーツにしろ料理にしろ、並外れた力を手に入れるには、並外れた努力と熱量が必要。スパルタ教師の教育法は大いに間違っているけど、後に語る信念には何となく納得出来る。音楽を愛する心に違いは無いんだろうな。

鬼教師を演じ、アカデミー賞助演男優賞を勝ち取ったJ・K・シモンズには背筋が凍るどころか、自分がドラマーであればもう二度とバチを持てなくなりそうなほど怖かった。声だけでなく、筋やシワにまで恐ろしさがあり身体が硬直してしまう。
自身の経験談を元に作ったこともあり、デイミアン・チャゼルによる完璧な音楽へのこだわりは、鬼教師の異常さと通じるものがあった。ドラムに溺れ、狂い、壊されていく。ラスト9分間には息することを忘れそうなほど、緊張と興奮の感情に支配され、映画の壁を越え、心をぶちのめされた。才能の暴力。カッコよすぎる。いつか、一生かけてでもこんな状況を作り上げてみける。

2024-79
サプライズ

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