ヘソの曲り角

セッションのヘソの曲り角のレビュー・感想・評価

セッション(2014年製作の映画)
1.0
最低。すべてを間違えてる。本当に腹立たしい。オールタイムワースト。音楽、映画、人間への理解をすべてはき違えている。怒りがおさまらない。

ずっとストレスMAXだが終始これがまともじゃないことを匂わせていたので最後の最後に教訓めいたものが提示されて溜飲が下がるのかな、と思って我慢して見てたけどそんなことなかった。あのクソ指揮者がやってることは完璧主義者だから人のレベルに合わせられないタイプの加害じゃなくて公然で人を侮辱するだけの最低最悪の加害なので万死に値するのだけど、それに対しての回答が指揮権を奪って自分の実力を誇示することでは絶対無い。もともと主人公が歪みまくってるのは当然分かってたけどその歪みのまま自己顕示欲モンスターLv.100になっただけじゃんこの映画。最低最悪の加害者への対処法は同じ舞台で独力で打ち負かそうとすることでなく、早く舞台から降りて他の人と交流を持つことである。アリ・アスターは意識的に主人公が加害者に負けるさまを描き続けているがチャゼルは一体どんなつもりで本作を撮ったのか。

というか人と音楽やったことある人なら普通に人と一緒に音楽をやる楽しさに向かうと思うんだけど、本作の楽団員が指揮者とドラマーの孤立した関係を生むための背景にしかすぎないところが意味不明すぎる。フェリーニ「オーケストラリハーサル」みたいに全員で革命起こしてみろよ。

てかあのラストシーケンス、発表会でただの公然オナニーしてるだけなのになぜクライマックスにできると思ったのかチャゼルは。映画も音楽もひとりじゃできねーだろ。

おまけにこの物語の一番の癌は他人と比べて主人公を罵倒する家族なのにそれに関して本編で一体なんか言及あったっけ? あのクズどもを野放しにしていいのか? あと恋愛パートがあまりにひどすぎて恥ずかしかった。なんか恋愛で報われず変にこじらせた中学生の妄想みたいな恋愛の間違え方で恥ずかしくなる。

ストレス演出がうますぎて見ていて具合が悪くなる。映画の役割が正しさを描くことだけではないことは百も承知だがこの映画についてはもはや加害だと思う。この映画を見た何千何万という人間がフラッシュバックを起こしているはずだ。ちなみに俺と妹は小学校で合唱部に所属していて同じ顧問の指導を受けていたがあの人の指導を思い出すようなしんどさだった。妹はその合唱部で部長になって最終的に精神を病んだ。

TARといい本作といい、指揮者映画は客の首根っこおさえて無理やり映画を体験させるようなのが多くて参っちゃうね。あっちのほうがまだ万倍マシだけど。

追記 もはや戦争映画だったね。フルメタル・ジャケットじゃん。前半散々いじめられてたメガネ君が指揮者殺すんじゃないかと思って見てた。体育会系の地獄全部乗せだったな…。洗脳だよ。