ブラウンソースハンバーグ師匠

セッションのブラウンソースハンバーグ師匠のレビュー・感想・評価

セッション(2014年製作の映画)
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この監督の作品は、というよりこの監督自体が、グザヴィエドラン監督に次いでことごとく子ども扱いのような評価ばかり受けており、不憫だなあと思うことが多々ある。そんなに若いってのは駄目でございますか?

不憫だなあと思いつつも、その評価には妥当性もあり、監督がパーソナルに嗜んできたであろう「カルチャー」を、まるで「これが好きなんだよな~酒うめ~」と居酒屋トークみたいに直送している印象を受け、不特定多数の世界と接続したときに明らかなパワー不足を感じる。
対して、この映画は監督の実体験に強く結びついていることもあり、初期衝動的なエネルギーと、監督の隠しきれない「青さ」とが見事にマッチしたのかもしれない。誰も色眼鏡を掛けてなかった段階ということもあり、クリアな状態で観客に受け入れられたということもあるが。

ラストシーンは、とっつぁんが扉のわずかな隙間から息子を覗き見るところで泣きそうになった。親戚の集まりで息子をこき下ろしたとっつぁんは、鬼気迫る息子の演奏から、そこに至るまでの過程をわれわれ観客が見てきたように追体験してくれたのだろうか。