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セッションのyumaのレビュー・感想・評価

セッション(2014年製作の映画)
3.4
猿でも楽しめるのではないか。それほど世間は迎合するであろう作品だ。良い点は主人公の楽器が「ドラム」であることに尽きる。このことに比べて仕舞えば、講師が鬼かどうかなど最早どうでも良いのだ。ドラムが選択された契機はわからないが、ともかく「ドラム」が作品の全てであり、「ドラム」以外の選択は絶対にあり得なかった。この映画は「MVのような映画」ではなく、「限りなく映画に近いMV」なのだ。この絶妙な混ざり具合が満足感の根源だ。
脚本、アングル、演者などその他の点は良くも悪くも良作の域を出ることなく、見るために時間を割くに値する作品ではないか。
しかし、残念な点も。1つ目は、まさに取って付けたような、親子や恋人とのエピソード。全く不必要なものであったし、どうしても映すのならば、もう少し時間を割いて欲しかった。あの長さでは師弟関係中心の話に混ざることができない不純物でしかない。そして2つ目(内容とは関係ないが)宣伝文句。「ラスト9分19秒-映画史が塗り替えられる」。映画史はそんな甘いもんじゃないし、たかがこの程度のラストに「映画史」なんて単語は不釣り合いも良いところ。小銭稼ぎのために「映画史」を引き合いにだすなど映画に対する冒涜である。
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