狂気のジャズ映画。
名門音楽学校の最恐指揮者の先生と彼に憧れながらも人生を狂わされる青年ドラマー生徒の魂のぶつかり合いを描いた作品。
演奏前に生徒たちに「さあ、楽しもう!」と笑顔を見せるスキンヘッドのフィッシャー先生が、いざモードに入ると罵詈雑言のオンパレード。スパルタを通し越して虐待。
例えるなら日本中の名門女子バレー部の名将顧問が脱水症状寸前で這いつくばる選手にひたすらボールをぶつけ続ける感じ。
その光景は間違いなく狂ってるんだけれど、当事者達にはそこに生き甲斐や愛を感じて生きている。
本作はそんなギリギリの感情や感覚のラインに訴えかける説得力や臨場感が尋常じゃない。
たしか本作は公開当初、その音楽観に賛否両論別れて話題になったと記憶している。
きっと音楽の自由に重きをおくプロはこの映画が不快だし、気高さを求める人は賛同や共感をするはず。
「夢を追うにはストイックが最重要でしょう。じゃあ、どこまでが適正なラインだと思います?」
それが本作のテーマであり、観客への問い掛けなのかなと自分は受け取った。
ヘッドホンを付けながら劇中の音楽のパッションや空気感、緊張感を味わって密に鑑賞する事をオススメします。